会社が火事かと驚き聞いていると、「今、なにしているの?」。なんと答えていいのかわからず絶句していると、「今から撮影したいのだけど、午後から行くから」。カメラマンは? と聞くと、「俺がカメラマンだから」と……オオカミに襲われる赤ずきんちゃん状態でわたしは固まった。

 仕事にかこつけて、ひとり暮らしのわたしの家に来ようというのだ。このときほど結婚していればよかったと後悔したことはなかった。「怖い」と思った。押し倒されはしなかったが、これがセクハラだと思った。仕事をもらっている女性の中には、受け入れている人もいると、あとで社内の人から聞いた。

「冗談じゃない!」とセクハラがあったことを編集長に告げると、次の日から仕事のオファーはなくなった。それ以来、「ピンポン〜♪」と玄関のチャイムがなるたびに、あの社長がストーカーになって現れたのではないかと怯えるようになった。

母親以外の女性を蔑視するのはなぜ?

 ちなみに、各国の社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2017」で日本は144か国中114位だ。これで先進国と言えるのか。

 欧米でもセクハラは存在するが、日本と比べるとその比ではない。アメリカで暮らしていたことがあるのでわかるが、表面上にしろ、男性は女性をたてる。一般的に男性は女性に対してやさしい。日本男性のように、「俺は男だ」とえばっている人は少ない。

 とても不思議に思うのだが、日本男性は、自分の母親を尊敬するのに、母親以外の女性となると、とたんに別物のように蔑視するのはなぜだろうか。ここ数日考えてみてその答えがでた。それは、母親に頭を押さえられて育てられてきたからではないかと。

 つまり、母親には頭が上がらない、言い換えれば、会社の上司と同じ存在なのだろう。だから、そのはけ口として、世間の女性をバカにするのではないだろうか。抑圧された人の行為だと思うと納得できる。