例えば「有機野菜がいいらしい」と聞くと、それ以外の食材、またはその可能性のある食材を一切受けつけられなくなります。食べ物の量ではなくて、質に対する強迫観念にとらわれ、心に抑圧をかけてしまうのです。そして、結果的に自分で食べ物を選ぶことができなくなってしまいます

「ベジタリアン」や「ヴィーガン(バターや乳製品などの動物性のものも一切摂らない厳格な菜食主義)」に起こりやすいといわれています。もちろんダイエットをきっかけにこれに陥る方もいらっしゃいます。

健康ブームに振り回されないで

 今の世の中、食に関する情報はまさに錯綜している状態です。空前の健康ブームにより、あるひとつの食材にフォーカスが当たって取り上げられたり、特定の栄養素を排除したダイエット方法がブームを巻き起こしたり……。その情報は実に様々で、正解がなんなのか、まったくわからない状態です。

 もちろん、健康でいたいと思ったら、知識は必要です。食品には中毒性があるものやアレルギーを引き起こすものもあるので、体の不調を感じたときは早急に調べた方がいいでしょう。

 しかし、同じものを食べて中毒やアレルギーにかかる人もいればかからない人もいるのと同じように、必要な知識は人それぞれです。あの人が「これはいけない」と言ったから、という他人基準で食べ物を排除していると、いずれどの軸で食べればいいのかわからなくなります。

 オルトレキシアの方は、1日3時間以上も1回の食事で食べるものについて考えてしまったり、自分が正しいと思う食事以外が食べられなくなってしまったりするのです。

あなたは大丈夫? オルトレキシア度をチェック

 先に述べたように、オルトレキシアはまだ研究も進んでおらず、治療法や診断基準が明確に確立されているわけではありませんが、全米摂食障害協会によると、次のチェックリストの質問に「はい」と回答する数が多いほど、オルトレキシア発症傾向が高くなるようだとされています。


オルトレキシアだと疑われる質問項目 □「正しい」あるいは「完璧な」食習慣を送るために、まったく食べない食品グループがありますか? □食事がどのように調理されたかひどく不安を抱きますか? □自身が守りたい食習慣に沿えないかもしれないと思い、食事の出るイベントに出られないことがありますか? □きちんと食事制限をしない人に対して批判的な感情を覚えますか? □献立を考えたり食材を選んだりするのに多くの時間とお金をかけていますか? □理想とする食生活から外れると後ろめたいですか? □以前は楽しめていたことに興味が無くなってきた一方で、「正しい」食事をしていると満足感を得たり良いことをした気分になったりしますか?