【Q&A】軽減税率ができたら暮らしはラクになる?
消費税の軽減税率とは、食料品などの生活必需品に対し、ほかより税率を低く抑えて設定する制度のこと。
「'19年10月からの消費税10%への引き上げに際し、外食を除く食料品、週2回以上発行されている定期購読中の新聞については、消費税率が8%に据え置かれます」(湖東さん、以下同)
消費税が0になるわけじゃないんだ……。全然ないよりマシだろうけれど、軽減税率でどれだけ暮らしがラクになるの?
「期待できません。品物の価格を決めるのはメーカーやお店、つまり企業です。10%への引き上げ前から、すでにさまざまな食料品が値上げされているのは前出のとおり。自動販売機を思い浮かべてみてください。
そこで売られているペットボトル飲料は消費税8%だとしても、自販機にかかる電気代や輸送にかかるガソリン代は、10%の消費税がかかります。そのコスト増が価格に反映されない保証はありません」
すでに軽減税率を導入している国ではどうか?
「例えばドイツ。ハンバーガーを店内で食べるときは通常の税率19%がかかりますが、持ち帰ると7%ですむ。ところが、客が支払う税込みの値段は同じです。税金の内訳が違うだけで、必ずしも安く買えるようになるわけではない。日本でも同じことが起きるのではないでしょうか」
【Q&A】消費税は社会保障に使うんじゃなかったの?
少子高齢化が進み、このままでは医療や介護、年金制度が立ちゆかなくなるから、消費税を社会保障の財源に充てる─。今回の増税だけでなく、実は消費税が導入された1989年から、政府が何度となく繰り返してきた説明。
湖東さんによると、これは「まったくのでたらめ」だという。
「消費税は何にでも使える一般財源として集められ、何にどう使われているのか、明らかにしていません。しかし一方で、企業にかかる法人税は消費税導入前の42%から引き下げが続き、'18年には23・2%に。また19兆円あった法人税収は11兆円に落ちています。
法人税の減税分およそ280兆円は、消費税導入後の税収349兆円の8割にあたります。その穴埋めに消費税が充てられたといっても過言ではない。
また大企業にとっては、前述した還付金のうまみがあります。これらの狙いで導入したと私はにらんでいます」(湖東さん、以下同)
そもそも社会保障の財源に消費税はふさわしくないと、湖東さんは指摘する。
「消費税は物価の一部に反映されるので、ものを買うたびに、社会保険料を払っていることになる。高い税率で知られるヨーロッパでは、消費税(または日本の消費税に近い付加価値税)を福祉財源として集めている国はありません」
【Q&A】消費税を取りやめた国がある!?
「本当です。マレーシアでは、消費税廃止を選挙公約に掲げて当選した新首相によって、6月1日から消費税に相当する物品・サービス税が実質的に廃止されました」(湖東さん、以下同)
日本とは反対に、税率を引き下げた国もある。
「カナダでは'06年と'08年に2度、消費税が引き下げられています。またヨーロッパでは、軽減税率の廃止など消費税を見直す議論が活発です。消費税を上げなくても、大型公共事業や軍事予算を削り、政党助成金を廃止するなどしたら財源は作れます」