男の狡さを引き出した「シルク姐さん」

 今回のバチェラーは、小柳津林太郎(おやいづりんたろう)さん。帰国子女・慶応義塾大学卒・サイバーエージェント幹部というキラッキラのプロフィール。

 あれ? あんまり背は高くないのかな。最初登場したときに「~です」ではなく「~っす」と話していたのは、若いからか、育ちがあんまりよろしくないのか。イヤ、決して若くねーわ。36歳。育ちもこの上なくええわ。

 最初っからピンポイント攻撃&サプライズ・ローズ(ローズ・セレモニーの前にデートでローズを渡しちゃう)を連発し、おまけにキスまでしちゃうノリの軽さが頼もしかった。そうそう、それくらい阿漕(あこぎ)でえこひいきしたほうが、盛り上がるってもんだ!

 まず、強烈なおばちゃん旋風を巻き起こした福良真莉果さん。「一瞬、シルク姐さん?!」と思わせるような、パワフルな第一印象に圧倒された。

 ともすれば刃傷沙汰(にんじょうざた)になりかねない、女の集団生活において、本当に「オカン」のような優しさと気遣いを見せてくれた。面倒見のいいオカンタイプの女性は、早々に落とされるに違いないと思っていたら、なんと実家訪問まで上り詰めた。つまり、最終4人まで残ったのだ。

 しかし、バチェラーが福良さんを最後の方まで残したのは、ちょっと作為的な気がしないでもない。男の狡さ・戦略の文字も頭に浮かぶ。過酷な闘いに長期間挑む女性陣を、明るく楽しくボトムアップしてくれるシルク姐さん、もとい、福良さんはマストな人材だ。男として、ではなく「全体の円滑な進行」という作為が感じられるのだ。

 福良さんは、長時間一緒にいたらどっと疲れそうな明るさとまぶしさを持っている。バチェラーも馬鹿じゃないので、うまいこと福良さんの明るさを利用した感が否めない。

 敵を作らず、全体的に包み込む温度を持っている女性は、いつも利用されてしまう。そこに切なさを覚えるし、男はそういうところを見抜くんだなぁと戦慄もする。姐さん、頑張ったね。姐さんを100倍明るくしたようなお母さんにもよろしく。