裁判の判決は「被害者の身体的および精神的苦痛・苦悶、ならびに被告らへの恨みの深さはいかばかりのものであったか。まことにこれを表現する言葉さえないくらいである」と断じた。
その犯行グループのひとり、当時16歳だった少年Cが湊容疑者だった。
湊容疑者は当時、弁護士との接見の中で「殴っている最中、なぜ殴っているのか自分でもわからなくなる。暴力が止められない」と、その凶暴性を明かしており、心理鑑定では「他者に対する想像力が欠如しており苦痛や幸福といったものへの配慮が非常に乏しい」と指摘されていた。
1991年7月、少年Cに下された刑は、懲役5年以上9年以下の不定期刑だった。
いつ出所し、その後どこでどう暮らしてきたのかはつまびらかになっていないが、出所後の一時期、ムエタイジムに所属し、プロとしてタイレストランのムエタイショーに出演していたことがあったという。当時を知るジムのスタッフが明かす。
「'97年ごろから2年くらい、本名で所属していましたね。プロとして2、3戦したと思いますが、試合のセンスはなかった。ジムの生徒が“コンクリ事件の犯人じゃないか”と噂するようになりフェードアウトしていきました」
そんな湊容疑者が事件現場のアパートに引っ越してきたのは今年6月のことだった。結婚予定だという同年代の女性も不動産会社の契約の席に同席していたという。無職なのに「自営業」と伝えていた。
まるで理性を知らない野獣
近隣トラブルは入居後すぐに始まった。
近くに住む20代の男性は、
「見た目は普通のおっさんです。夕方になると毎日、自分の車の前に立っていました。通行人をにらみつけて、車の周りをちょろちょろ歩いてまた車の前に戻る。そのうちに“キョエーッ”とか奇声をあげはじめたので、クスリでもやっているんじゃないかなと思って、近寄らないようにしていました」
事件現場を散歩コースにしているという男性は、
「アパート住人が、加害者の車の横で車をUターンさせようとして、“てめえ何してるんだよ、この野郎”って、突然、理不尽に恫喝された」
と話す。別の近隣住民は、
「知り合いは、駐車場のバイクを蹴り飛ばして倒したところを見たそうです」
と証言。近隣主婦は、
「私の知り合いが車で駐車場にきたときに、“ライター貸してくれ”って車に寄ってきたそうです。“持ってない”と伝えると、チッと舌打ちされて“使えねぇな”と罵られた」
と明かす。