危険察知のポイントは?
豪雨、そして浸水……。いったい私たちはいつ「災害」を意識して「避難」を考えればいいのだろうか。
「1時間の雨量が30ミリを超えたら、警戒してください。そして、時間雨量が50ミリを超えたら“必ず冠水する”と思うべきです」
そう語るのは、危機管理アドバイザーの国崎信江さん。今回の災害でも倉敷市の災害支援をしている災害対策のプロフェッショナルだ。
大雨の降る回数は近年、増加傾向にある。
「特に都市部は、50ミリを超えたら、近くに川がなくても“内水氾濫”が起こる可能性が高いので、避難の準備を始めてください。大雨が降る前からハザードマップを見て、避難の計画を立てておくといいでしょう」
“内水氾濫”とは、河川の水(外水)に対して、河川にかかわりなく、排水が追いつかないために敷地内にあふれた水(内水)による洪水のことだ。
「大雨で排水処理能力を超えると側溝やマンホールから汚水があふれ出します。あっという間に道路が池のような状態になります。だから、そうなる前に避難するべきなのです」
河田教授も早期避難をすすめる。
「まずは、道路に水が出たら逃げられない。例えば、マンホールのふただって水が出ればはずれてしまう。特に、夜に水に浸かった道路を避難するのはそうとう危険です。
洪水氾濫が起きるときは、少なくとも堤防の高さまでは水がくると思ったほうがいい。近くの堤防の高さが、自分の家の屋根の高さと同じなら、屋根まで水没する可能性はあるということ」
そのリスクは西日本だけに限らない。もし豪雨が東京を襲ったらーー。
河田教授は、さらに深刻な被害になりうると警告をする。
「東京で200年に1度の大雨が降ったら、荒川や利根川は氾濫する可能性があります。なかでも問題なのが古い橋です。特に、鉄道会社の鉄橋は相当古い。だから、200年に1度どころか、たとえ60年〜70年に1度くらいの大雨でもあふれてしまいます。西日本豪雨クラスの大雨では、鉄橋は全滅すると思ったほうがいいでしょう」
これから秋を迎え、低気圧と高気圧が交互に日本列島を覆うようになると、気圧が変化しやすくなる。再び水害が起こる可能性はあるのだろうか。
「僕がいちばん心配しているのは秋雨前線なんです。これからの時期、秋雨前線が日本列島に停滞したとき、8月に発生した台風13号くらいの規模のものがくると、大雨と台風でそうとうな被害が出ますよ。そういった“複合災害”が起こりやすくなってきています。たいていは起きてほしくないときに起こるもの。油断は禁物です」