セリフがある役64名
ほかのキャスティングは困難を極めたそう。
「セリフがある役だけでも64名もいますから(笑)。
なかでも萬治郎の母親役には苦労しました。萬治郎の出産シーンから登場し、萬治郎役につぐ長い年代を演じる難易度の高い役。無理を言って原田美枝子さんに受けていただきました。
個性的な役が多い生瀬勝久さんは、とにかく弟思いの兄役を好演。限られた登場シーンながらインパクトのある演技を見せてくれた女給役の倉科カナさんにもご注目ください」
“やってみなはれ”
明治12年に生まれた萬治郎は少年時代、海の向こうから昇る太陽で、あたりがキラキラと輝き出す“琥珀の夢”を見る。折に触れて蘇るこの夢とともに物語は紡がれる。
13歳の萬治郎は、奉公先で開発を手伝った葡萄酒に興味を持つ。そして、日本一の葡萄酒を完成させたいと思う。
20歳になって洋酒の商いを始めようと思い立った萬治郎。兄から贈られた軍資金を持って神戸へ向かうが、乗り込んだ豪華客船での出来事が、彼の人生を大きく変える──。
「兄や妻たちが萬治郎に言う“やってみなはれ”は、今作のキーワード。
順風満帆の立身出世伝ではなく、萬治郎は信じた人からの裏切り、震災などの苦境に立たされることばかりです。それでも、温かくも心強い“やってみなはれ”精神で、あきらめることなく、挑戦を続けていきます」