9月30日に東京・国技館で、第70代横綱・日馬富士の引退断髪披露大相撲が行われる。関取の引退に伴い、髷(まげ)を落とす儀式だ。
昨年11月に引退を発表し、現在はモンゴルで学校を創立。教育現場で新しい人生を踏み出している日馬富士の、本当の再スタートの日となる。いろいろと批判もあるだろうが、謝罪をして身を引き、新しい人生を歩み出した日馬富士を温かく送り出したい。
プロの画家ではなく、いちファン
そんな日馬富士を描いた画文集『第70代横綱日馬富士 相撲道』(藤原書店)が出版された。
色鉛筆で描かれた日馬富士の絵が120枚。土俵の上で戦う姿はもちろん、稽古に励む様など、どれもこれも力強く、躍動感にあふれた作品集だ。
足や肩や腕の筋肉の動きも丁寧に描きこまれ、日馬富士という横綱の、小柄だけど鍛え抜かれた身体の美しさが伝わり、見ていて“ほぉ~”と、ため息が出る。
描いたのは都内在住の橋本委久子さん。実はプロの画家ではなく、いちファンとして、日馬富士を描き続けてきた。
「日馬富士を描き始めたのは2006年から。最初は毎場所ごとにハガキ大に描いて、日馬富士(の相撲部屋)に送っていたんです。初めの頃はひと場所ごと、3枚ぐらい送ってました。
でも絵って好き嫌いがあるでしょう? 喜んでもらえてるのかどうか不安だったんですが、あるときテレビで彼のインタビューを見ていたら、彼の部屋に私が送った絵が飾ってあるのを見つけてね。
元々、私は絵を描いて友達に送ることを中学生ぐらいからしていたんですが、見てくれてるんだ! と、がぜん、張り切りました。封筒に入れて送ったら見てくれないかもしれないから、ハガキですよ、ハガキ(笑い)」
橋本さんは子どもの頃からの相撲ファン。
ただ2000年代に入ってからは相撲がつまらなくなったと感じ、また仕事も忙しくてテレビの電源すら入れる機会もなくなっていた。