本人のため、厳しい言葉もガンガン
最近、主流になっているのは今回のようなテーマ婚活。荒木さんは、ほかにも山コン、ボウリングコン、読書コン、農業体験コンなどさまざまな婚活イベントを熊本県内各地で手がけている。その数は年間40~50回。’16年の熊本地震の後、参加希望者が一気に増え、2年たった今も変わらない。
’96年、婚活という言葉もなかった時代にこの仕事を始め22年間で誕生させたカップルは1000組超。成立率は平均5割だ。合コンみたいな気軽さはないが、真剣なぶん、カップルになると、そのまま結婚へと向かう人も多い。
今年4月に同じ場所で行った着物パーティーで結ばれた1組はスピード婚約。縁結び祈禱を受けた神社で、12月に挙式する予定だ。
久永大悟さん(33=会社員)は3年前の11月に熊本県南阿蘇村で行われた「第1回山コン」に参加し、1年後に同じ場所で結婚式を挙げた。知り合いにすすめられ、山登りの仲間ができればと軽い気持ちで大分県から参加した。
「妻に会った瞬間、雷に打たれたような感じでした。荒木さんにひと目惚れしたと話したら“絶対離れちゃダメだよ”と。背中を押されるというより、尻を叩かれるような感じでした(笑)」
妻の暖(だん)さん(33=契約社員)は地元・南阿蘇村の出身。いい出会いがなく、焦りを感じていたとき「悩んでいてもしょうがない」と参加したのが山コンだった。
「荒木さんは女性に対してはそこまで強い言い方はされませんでした。むしろ、近所のおばちゃんが“いい人いるよ”と声をかけてくれるみたいな温かい感じがして、夫とも自然体で話せたのがよかったかなと思います」
絶妙なさじ加減の声かけが、2人の人生を変えたわけだ。
荒木さん自身は参加者を自分の子どものように思い接しているのだという。
「その子のためを思って言わないといけないと感じたときは、厳しいこともガンガン言います。だから“婚活界の松岡”と言われるのかも(笑)」
浴衣パーティーや山コンを一緒に手がけるプランナーの岡村政志さん(40)は、荒木さんのことを“熊本の二刀流”だと称する。
「直美さんはタレントの顔も持っていることが強みだと思います。地元のテレビ番組に出ていて顔が知られているので、初めて会った気がしない。婚活の参加者も安心して、自然と心を開くことができるのだと思います。旦那さんとの経験談などを交えて、みんなを笑わせて、リラックスできる空気を作るのも上手ですよ」