同店では客あたりの滞在時間がとても長いというが理由はよくわかる。ユニークな商品を整然と美しく陳列しているため、つい足を止めてしまうのだ。
「社員が書いている手書きのポップも、お客様が立ち止まってくださる原因のひとつでしょう」
と、フロア部次長の郷原貢さん。
「直接、生産者やメーカーと交渉して、いいと思ったものだけを仕入れているので、そのよさをお客様になんとか伝えたいという思いが強い。例えば精肉では、照明の角度を計算してカットしていますし、惣菜は容器にもこだわっています。商品説明のPOPは、仕入れのいきさつや商品の使い道などを、すべて自分たちで書いています」
印象的だったのは、店員と客の会話が多いこと。商品の特徴を売り場にいるほぼすべてのスタッフが知り尽くしており、詳細に説明してくれるので、アドバイスを受けながら品物を選ぶことができるのだ。
約10年前に立ち上げたパティスリー部門では、カステラやプリン、焼き菓子などを2階の厨房ですべて一から手作りしている。店頭の洋菓子コーナーは本格ケーキ店さながらの品ぞろえで、思わず目移りしてしまう。
惣菜は店で販売しているオリジナルの調味料も使っており、和惣菜のだしは毎朝こんぶとかつおのだしをとり使用、洋惣菜や精肉部門ではブイヨンから自社で作っているというから、こだわりには驚きだ。
“良質なものがそろう百貨店”のような同店は、宝探しをするような楽しさからリピートしたくなる店だ。
※価格は取材時のものです