観光課はファンのために奔走
さらに、山田さんが「涙ぐましいほど頑張っている」と聖地巡礼の旅先にすすめるのが、岐阜県飛騨市。'02年の朝ドラ『さくら』のロケ地で人気となり、'16年には大ヒットしたアニメ映画『君の名は。』の舞台として、あらためて人々を魅了している。
「アニメなので撮影隊が来ず、市内には映画館もないため、地元はモデルになっていると知らなかったんです。なのに突然、大勢の人がやってきて“(作中に登場した)図書館はどこ?”と聞くので、街の人は大あわてだったそうです」
一方で観光課の担当者は試写や遠方の映画館、地元上映会などで計8回、作品を鑑賞。この場面はあそこ、あの場面はここでは、と自力で場所を探し当て、訪れるファンに楽しんでもらえるよう対処したとか。
なかでも、駅に止まる電車を見下ろすシーンを同じように写真に収められるよう、撮影場所となる跨線橋の窓の柵を間引き、そばに電車の時刻表を貼ったという心遣いには感心するばかり。
「飛騨市は市民がていねいに町の掃除や手入れを行うので、いつもきれい。観光客にも温かくて、道を尋ねるとよければとお茶を出して一服させてくれることも。そんな土地や人に魅了されたリピーターがとても多い。最近では、海外からも映画の反響とともに、日本の原風景を求めて訪れる人が増えています」
市の調べでは、『君の名は。』が上映された'16年の観光客数は100万人を突破、昨年は113万人超と過去最高に。いまだ高い人気を誇っている。