多頭飼育崩壊の要因を探る
飼育環境における問題に続いて、『アニマルホーダー』にまつわる問題についても着目したい。アニマルホーダーという言葉を聞いたことがある方は、どれくらいいるだろうか?
週刊女性の短期集中連載でも報じたように、飼育不可能な数の犬や猫を集め、それを手放せない“多頭飼育崩壊”が日本でも目立つようになってきた。
なかでも注目されるのが、『アニマルホーダー』の問題だ。ホーダーとは、ため込んでいる人という意味。適切に飼育できる数ではないのに、動物を抱え込んでいる状態の人を指す。
実態に詳しいNPO法人『ねこけん』代表理事の溝上奈緒子さんが解説する。
「アニマルホーダーは精神的な疾患のひとつ。正確な定義はまだありませんが、私は精神的に動物に依存した生活をしている人だと考えています。アルコール依存症やギャンブル依存症などと同じように、専門的な治療をすれば治る病気です」(溝上さん、以下同)
ゴミを捨てられないゴミ屋敷の住人になぞらえる人もいるが、
「確かに現行の動物愛護法では、動物はモノ扱いですが、飼い主は動物をモノとは思っていません。ゴミ屋敷の問題とは成り立ちが異なります」
アニマルホーダーには、ペットの幸せを思い、実際に可愛がっている人が多いという。だが、行き着く先は悲惨な多頭飼育崩壊だ。
「捨て猫などを次々に保護していると、経済的な困窮に陥って不妊手術代が払えない。増えすぎると、ご飯もあげられず、掃除もできなくなる。最後は猫にとって最悪の環境、虐待にもなってしまうのです」