50代からは新たなステージに
一方、50代はまだ人生の折り返し。最長あと50年を、いったいどう生きるのか? それを今から考えることがもうひとつのアンチエイジングになると思う。
これからの時代、おそらくは人生の第二部をどう生きるかということがとても大きなテーマになる。子育ても一段落し、仕事をもっている人もひとつの節目を迎える時期なのかもしれない。そのときにもうひとつ、“何か人生でやっておくべき、もうひとつのこと”を見つけるのが、若々しく生きる大きなカギとなるのではないかと思うのだ。
趣味を極めるのもいい。ボランティアでも何かのサークルでもいい。もちろん新しい仕事を始めることかもしれないし、何かもっと別の、新しい物事に取りかかることかもしれない。なんでもいいのだ。セカンドステージのテーマをもつこと。それが若々しく美しく年を重ねる絶対のカギになる。
くしくも今、あえて白髪を染めないグレイヘアのオシャレが脚光を浴びつつある。いかに人生が2回営めるとしても、加齢は今までどおりやってくる。でも、それさえも前向きに考えようとする時代がもう始まっているのだ。どうしたってやってきてしまう衰え。なかでも白髪は、正直いまだに原因や対策がすべては解明できていない謎の多い衰え。そういう意味でも少し前は、あえてグレイヘアにしたいと思う人は少数派だったかもしれない。しかしそれが今やひとつの憧れとなっているのだ。自分もあのエレガントなグレイヘアになれるのなら、年をとるのも怖くない、そこまで思う人がふえている。
しかも、グレイヘアにすると、がぜんオシャレが楽しくなる。まるでブロンドのように黒髪では似合わないような髪型や服が不思議に似合うようになるのだ。だから今まで挑めなかったオシャレにもどんどん挑めるようになり、ましてや全女性の憧れとなりつつあるグレイヘアならば、街へ出てもあらためて視線を浴びるようになるかもしれない。
それもまた、美しさのセカンドステージがやってくることにほかならない。アラフォー以降、あらためてこれからめざせる美しさが待っているなんて、やっぱり今まで考えられなかったはず。でも本当にそういう時代がやってきたのだ。もちろん今その一方で美容医療がどんどんポピュラーになってきているが、それ以上に、化粧品が美容医療に肩を並べるのではないかというほどの勢いで、目覚ましい進化を遂げつつあることも、ちゃんと知っておきたい。
たとえば、皮膚のシートのようなものを肌に貼って、シワもたるみも見えなくしてしまうような新しい提案が発売を待っているのだ。人生が100年になるならば、化粧品の進化もそれに合わせて対応するはず。しかも最先端ケアがまるでクスリのジェネリックのように、どんどん低価格で手に入るようになってくる。そういう若返りも目覚ましい時代に生きる今のアラフィフこそが、先頭に立って次の時代を担っていくことになるはず。
だから絶対にまとめに入らないで。むしろこれからもうひとつの人生が始まるのだから。むしろこれからセカンドステージの美しさが始まるのだから。
さいとうかおる/美容ジャーナリスト、エッセイスト。女性誌編集者を経て独立。女性誌において多数の連載エッセイをもつほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『Yahoo!ニュース「個人」』でコラムを執筆中。新刊『大人の女よ!もっと攻めなさい』(集英社インターナショナル)ほか、『“一生美人”力 人生の質が高まる108の気づき』(朝日新聞出版)、『されど“服”で人生は変わる』(講談社)など著書多数。
(「新春すてきな奥さん 2019年版」より転載)