久々に共演した新垣と松田だが、相性はぴったり。

晶は仕事で繰り出す営業スマイル、苦笑、素の笑顔、自分を殺した笑顔など、さまざまなパターンがあるんですが、新垣さんは、見事にすべての笑顔の質を変えて演じています。

 恒星は毒舌で嫌みな仮面をかぶって強がっていても、実はやさしくて誠実。これまでの龍平さんはエキセントリックや飄々とした役が多かったけれど、本作では感情に巻き込まれていく生身の男。話が進むにつれ、どんどん愛すべき男になっていく龍平さんの演技が秀逸です

野木作成の人物設定、空き時間に恋愛相談

 出演者は、実力派ぞろいだが、個性的な登場人物を演じるにあたっての助けになったものもある。

野木さんが、それぞれの登場人物の生まれやどういうふうに育ってきたのかなどを細かく書いた人物設定表を作って、ひとりずつにくださったんです。それを踏まえて性格などを考え、役作りしてくださっているので、みなさん繊細な演技になっていると思います。

 もともと演技のうまい方ばかりですが、さらにこちらの予想を素晴らしく超えてきてくださるので毎回、驚いてしまいます。自分以外の登場人物の過去の設定は知らされていないので、台本を読み、物語が進んでいくうちに理解していくのもリアルな人の出会いと通じるものがあります」

 他人同士だからこそ本音をぶつけあいながら関係を築く晶と恒星は、ビールバーで最初は離れて座っていたが自然と隣に座り、敬語にタメ口がまざるようになるなどディテールにこだわって描いている。

撮影現場でムードメーカーは、5tapに出入りしている三郎役の一ノ瀬ワタルさん。空き時間には、ワタルさんの恋愛相談などを新垣さんや龍平さんが聞き、5tapのマスター役の松尾貴史さんがアドバイスをするのがいつものパターン。リアル5tap状態になっています(笑)

 野生の獣のように自由に生きられない晶と恒星、さらに晶と京谷のつらい恋の行方、朱里との因縁、恒星と呉羽は、どんな結末に?

「堂々巡りを繰り返してばかりでしたが、この先、そこから抜け出すべく動き出し、加速していきます。恋も仕事も変えていこうとする姿に勇気づけられると思います」

こだわりの特製ビール&つまみ

『獣になれない私たち』 (c)日本テレビ
『獣になれない私たち』 (c)日本テレビ
【写真】ドラマの最新場面カット

 晶と恒星の出会いの場をクラフトビールバーにしたのは脚本家・野木の提案。

野木さん自身、クラフトビールが大好きでプライベートでも行きつけのバーがあり、私たちも取材をさせてもらいました。劇中のビール名は、野木さん命名です。

 毎回、脚本が届くときに一緒に送られてくるのが、ビールのリスト。どのシーンでどんなクラフトビールをリクエストするかまで全部、指定されています」(松本P)

 種類の違うビールの色、こだわりのグラスに加え、おつまみもナッツや乾きものだけではなく、和食の小鉢を出しているので、こちらもチェックして!