変化は手数料だけにとどまらない。店舗の統廃合も活発だ。
「ATMも店舗も、維持コストがかかりすぎて、そこから得られる利益に見合わない状態が続いています。ですから銀行は、利用者が少なく採算の合わないATMや店舗をどんどん減らしているわけです。
私の予想では、今後10年で半分くらいに減るでしょうね。ただ、そうなっても、都会はまだましです。例えば、『三菱UFJ銀行』と『三井住友銀行』では今後、お互いのATMを手数料無料で利用できるようにしよう、という話が出てきています。都心部なら当面は、便利なお金ライフを維持できそうです」
ネットバンキングの活用を
一方、郊外や地方では、銀行の店舗やATMが近所からなくなる可能性が。
「これからは現金だけに頼っていると、ATM巡りのために電車やバスに乗らなければならないおそれがあります。年配の方も、そろそろパソコンやスマホで振込手続きなどができる“ネットバンキング”や、クレジットカード、電子マネーを使った支払いに慣れておかなくては。さもないと、手数料で損をするだけでなく、生活に支障が出てくるかもしれません」
ATMを減らしコスト削減を図る一方で、銀行はインターネットを使ったネットバンキングの利用を促し始めている。
「ネットで取引するなら手数料を優遇するという動きが進んでいます。都会に住んでいるなら大手銀行のまま、そこのネットバンキングサービスを活用するのもいいでしょう。
地方の人なら、『ジャパンネット銀行』のようなインターネット専業の銀行に口座を開設して、普段はキャッシュレス決済やネットバンキングですませ、どうしても現金が必要なときだけコンビニATMで引き出すというふうにすると便利ですね」
ネット専業銀行は店舗を持たないので、経営状態もよく、金利などもお得な傾向がある。
「地方在住で、今までの現金中心の生活をすぐには変えたくないのであれば、『ゆうちょ銀行』を選びましょう。窓口やATMのある郵便局はどの街でもありますし、過疎地域だからといって勝手に撤退はできないことになっていますから」
ローンを借りたいという場合はどうすればいいのだろうか。
「住宅ローンに関しては、とても長いお付き合いになります。大手銀行や大手地銀など、経営が安定しているところから借りるようにしましょう。
もし経営状態の危ないところから借りて、ローンを返済している途中で銀行が破綻したりした場合、同じ金利や条件で借りられないなど不都合が生じる可能性がありますので注意してください」