「孤独死の場合、だいたい直葬が9割、通夜・葬式を行う一般葬は1割あるかないかくらいです。ご家族10人くらいが集まって直葬を行うことが多いです」(近藤さん)
死後日数が経過して遺体が痛んでいると、火葬して遺骨にしてから葬儀をする場合もあるという。
「故人様の生きていたときのイメージがありますから、ご遺体が痛んでいると、姿形や臭いなどでその方のイメージからかけ離れた状態になってしまいます。見た方がショックを受けてしまう。ご家族も亡くなったご本人も見てほしくないだろうと考えて、火葬してから葬儀を行います。それに、亡くなった方と連絡をとっていなかった結果、孤独死しているということなので、世間体を考えて、近所の方を呼んだ大々的な葬儀はやりにくいというのもあります」(近藤さん)
「疎遠だから」と遺体や遺骨の受け取りを拒否
孤独死に限らず、一般的にも直葬や家族葬(家族のみで通夜・葬儀を行い、参列者は呼ばない)など葬儀が縮小傾向にあるが、特に孤独死では「遺体を見せられない、孤独死の理由を追求されたくない」ということから直葬が選ばれている。また、近藤さんが一番衝撃的だと話すのは、遺体や遺骨を遺族が受け取り拒否するケースだ。
「ご遺族を探す場合、最初は故人様の親や子から始まり、兄弟、甥姪の順に探しますが、甥や姪だと拒否することが多くなってきます。実の子供ですら“疎遠だからもういいよ”というのもあります。受け取りを拒否されるのは私たちもショックです。ご家族の間でどういう過去があったのかと考えさせられます」(近藤さん)
遺体が引き取られない場合は、身元不明人と同じく「行旅死亡人」として扱われ、発見された自治体が引き取って無縁仏などに埋葬される。また、火葬後は遺骨の引き取りが原則となっているが、自治体によっては遺骨の受け取り拒否が可能な場合があり、火葬場が処理を行うという。
「ご遺骨の受け取り拒否は年間でかなりあります。火葬するお金は払わざるを得ないということから支払われますが、ご遺骨の受け取りは拒否して“私は火葬場には行きませんから、あとはやっといてください”と一度も姿を現さない。何年も会っていないお父さん、お母さんの遺骨をいきなりマイホームに持って帰るのは困る、お墓を持てない、家にも置いておけないなど、いろいろな事情があるのだと思います」(近藤さん)
過去には電車の網棚や公衆トイレなどに遺骨を放置する事件も起きて話題になった。親族との希薄な関係性だけでなく、個々人の経済的、心理的な余裕のなさもあるのかもしれない。