“パンチパーマのオバチャン”ばっかりなの?

 取材班が大阪で、ヒョウ柄とともに探したのが“パンチをあてた”女性。

「みなさんがパンチと呼ぶきつめのパーマは、細いロッドで巻いたコールドパーマのこと。男性のかけるパンチパーマとは種類が違います」(ヘアライター・佐藤友美さん)

 お笑い番組で見るあのパーマは“パンチ”じゃなかった! また、大阪独自の呼び名も存在するらしい。

「年2回、盆と暮れにかければすむから“盆暮れパーマ”っていうねん。経済的やろ~」(『オバチャーン』メンバー・宇口久子)

 盆暮れパーマとは、なんとハイセンスなネーミング! 経済的なだけでなく、こんな利点も。

「加齢に伴う女性ホルモンの減少で髪も徐々にハリを失います。全体的に薄く地肌が見えてくるので、パンチはボリュームを増すのにいいスタイル。手入れも簡単で、洗いっぱなしでいいのが利点です」(医学博士・植田美津恵先生)

 ところが「ここ10年くらい、あまりお見かけしない髪型」(前出・佐藤さん)になってしまった。なぜか。

「一般的に男性は、長いストレートヘアの女性を好む傾向にあり、パンチはその真逆。“男性の目を意識しない”髪型でモテない。不人気になった理由はそこかもしれません」(臨床心理士・緒方俊雄先生)

 脱・パンチをしてモテに走ったのが減少の理由? 一方、こんな意見も。

天神橋筋商店街を1・5往復するも“パンチのオバチャン”は現れず
天神橋筋商店街を1・5往復するも“パンチのオバチャン”は現れず

「そもそも、大阪=ヒョウ柄にパンチパーマの陽気なオバチャンだらけ、というイメージはテレビ番組が作りあげたもの。大阪という街をジョークタウンのように仕立て、いじり倒したのはマスコミで、いじられすぎたゆえに激減してしまったのでは?」

 こう分析するのは、『大阪的「おもろいおばはん」はこうしてつくられた』の著書がある国際日本文化研究センターの井上章一教授。

「大阪に今も“パンチ”の女性はいると思いますが、その比率はおそらく東京などの他都市と変わらないと思いますよ」(井上教授)

 結局、大阪でパンチのオバチャンは発見できなかった。それは、われわれメディアが生み出した虚像だったのかもしれない。