自筆証書遺言書を作成しよう
日沢「まずは一番オーソドックスなのが自筆証書遺言です。これは文字通り、自分で遺言書を書く方式です。この遺言方式の最大のメリットは、書き直しがしやすいことと、費用が安い点です。内容に訂正がある場合には、新しい遺言書をまた書き直せばOKです」
Aさん「よくドラマとかで見るやつですね。遺品整理をしていたら遺言書が見つかった! という(笑)」
日沢「そうです。ただしデメリットが2つあります。1つ目は、書き方を間違えると遺言書自体が無効になる可能性がある点です。遺言書には作成日付を正確に書くなどルールがありますから、そういったルールを守っていない遺言書は、残念ながら法的に無効となります」
Aさん「せっかく遺言書を残しても無効になったら何の意味もないですね」
日沢「はい。2つ目は、遺言書の存在が知られないまま相続が終わってしまったり、相続人による遺言書偽造や火事などによって紛失したりする危険があることです。遺言書の存在を誰に伝え、どう保管するかが重要となります。
また、法務局による自筆証書遺言書の保管制度が2020年7月10日から開始します。これを利用すれば安心ですね」
Aさん「それはよい知らせです。でも先生、すべて手書きだと相当、疲れますよね。しかも書き間違いや書き直しが大変そうで、とても最後まで書ける自信がありません」
日沢「実は自筆証書遺言の作成については2019年1月13日から、財産目録などの一部については自書でなくてもよいこととなりました。例としてパソコンでの作成も可能となります。ただ変わらず自筆が必要な部分もありますから、利用に関しては必ず制度を確認しましょう」
Aさん「それはだいぶラクになりますね。ただ、きちんと法律的に有効な遺言書が書けるかどうかが、やはり不安です」
日沢「そういった方は、次の公正証書遺言を検討しましょう」
公正証書遺言書を作成しよう
日沢「公正証書遺言とは、プロの公証人がAさんの代わりに作成してくれるものです。公証役場への費用はかかりますが、自筆証書遺言と違って家庭裁判所の検認も不要で、無効になる心配がありません。速やかに遺言書を使用した相続手続きに移ることができます」
Aさん「それは安心ですね。費用は大体いくらくらいかかるんですか」
日沢「遺言の目的である財産の価額が100万円以下であれば5000円、1000万円を超え3000万円以下ならば2万3000円など、手数料は決まっています。それを基にして、財産を継承する人ごとに計算し合計します。証人立ち合いのもと、公証人が遺言書を作成します。基本は法務局に出向いて作成しますが、有料で自宅に公証人が出向いて作成することも可能ですよ」
Aさん「多少費用はお支払いしても、お願いする価値はありそうですね」