遺言書には付言事項を書こう!そして……
Aさん「いろいろとありがとうございます。どちらの方法がよいか、じっくりと考えてみます」
日沢「そうですね。どちらの方法もメリットとデメリットがあるので、Aさんがお好きな方を選んでいただけたらと思います」
Aさん「はい、そういたします。また、お話を聞いて、財産の分け方についていろいろと考えてしまいました。まず、財産は自宅を含め、大部分を妻に相続させたいと思います。
もちろん子どもたちにも多少の現金を渡したいと思いますが、妻にはこれまでたくさん迷惑をかけましたからね。ただ、この財産の分け方について、子どもたちに説明する機会がないのが多少、心配です」
日沢「なるほど。それでしたら付言事項を残すのはいかがでしょうか。付言事項とは、遺言書の最後に書くメッセージのことです。この内容自体に法律的な効果はありません。ですが、どうしてそういった財産の分け方をしたのか、だれに感謝しているのかなど、Aさんの思いを遺言書に書くことができます」
Aさん「ありがとうございます。付言事項ですね。それも併せて考えてみます」
日沢「はい。ただし、財産の配分が偏った遺言書を書く場合、ひとつだけ注意すべき論点があります。それは『遺留分』の問題です」
Aさん「いりゅうぶん、ですか?」
日沢「はい。遺留分の問題は、遺言とは切っても切れない重要な論点です」
次回は、“遺留分”について、詳しく解説していきます。
(続く)
日沢新(ひざわ・しん)◎税理士。1987年生まれ。2013年に、税理士の国家資格を取得。税理士事務所NEO FRONTIER TAX OFFICEの代表税理士(https://hizawa-tax.com/)。おもに個人や中小企業、そして相続に関する相談に乗っている。身長185cm、70kg、体脂肪率8%。日々のジムトレーニングで、鍛え抜かれた肉体美を目指す。好きな言葉は「黄金の精神」。