日本語のおぼつかないジェシカさんにあまりにも卑劣な振る舞いだ。セクハラ行為は言葉だけではなく、ときには肉体に及んだことも。
「立ち上がるときに胸をつかまれるのは当たり前でした。自分で排尿行為ができるのに手伝わされていました。利用者の尿が便器に届くように持ち上げたりするため、性器を触らなきゃいけなくて嫌でしたね。健康なお年寄りなのになんで、とは思ってた。でもそのときはそれが普通なのかなとも思っていました」
「オプション料金でジェシカのお尻触れる」
男性利用者から性的な目で見られるようになったジェシカさんは、女性利用者に誤解されて嫌われるようになったという。
「私が利用者に身体を触らせてお金をとっているように見えたみたいです。そんなことはもちろんない。だけど1度ついた印象は消えないね。私に触られたくない、介助されたくないという女性利用者が増えていったよ」
しかし、ジェシカさんには利用者への怒りはない。
「施設長の熊川(50・仮名)っていう男がいてね、そいつが利用者をたきつけてたんですよ。熊川は英語ができたから私たち外国人労働者の相談窓口みたいな役割だったわけ。利用者に“オプション100円でジェシカのお尻触れる”とかよく言っていました。
セクハラはオプション料金として熊川がもらっていたのか、ふざけてそういうお店ごっこをしていたのかは今となってはわからないけど、もしお金をとっていたとしたらもっと許せないよ!」
度重なるセクハラ行為に耐えかねたジェシカさんは配置転換を訴え、県内の別の施設へ移動し、セクハラ地獄からも解放されたという。
「外国人を差別する熊川みたいな悪いやつがひとりでもいると、その職場は外国人にとって地獄になるよ。熊川は利用者によく言っていたよ。“ここは介護ホームじゃない、フィリピンパブです”ってね。ふざけるな! だったらもっと金寄こせ、だよ(笑)」
ジェシカさんは「日本人は大好き、でも熊川は大嫌い」と言って笑った。
施設長の熊川氏に話を聞こうとしたが、昨年7月にこの施設は閉鎖され真意を聞くことはできなかった。