事の詳細を、時系列に関係者の証言でたどってみる。まず、容疑者は昨年の11月下旬に初めて産婦人科を受診している。伊勢崎市役所は、
「その産婦人科から、市の保健管理センターに妊娠の連絡が入っているんです。ところが保健管理センターから12月27日、“その後、定期的な検診に来ておらず、妊婦さん本人とも連絡がとれない心配な状況にある”と報告がきました。すぐに年末年始を迎えましたので、年が明けてから、本人の連絡先(スマホ)に4回連絡をとりました」(担当者)と話す。
うち1回は、容疑者から折り返し電話があったという。
「スマホに受信履歴があったので電話しました。今度、病院を変えて通院しますので」
と話し、市の担当者がどこの病院にかかるのか尋ねると、
「これから探しますので」
という返答だった。
本人は家族の前で妊娠を否定
その後はまた連絡がとれなくなったという。前出の同市担当者が説明する。
「1月2日が出産予定日でしたが、初産なので少し遅れる可能性があった。出生届の提出期限は2週間以内です。児相と連携をとりながら連絡を待っていたのですが、見込みの期限を過ぎても出生届が提出されなかったので、児相に相談して同24日に自宅に行ってもらったのです」
その児相(群馬県中央児童相談所)は次のように話す。
「心配でしたので、夜の7時過ぎにスタッフ2名で家庭訪問しました。本人も家族もいました。子どもさんのことは、家族もおられたので、なかなか切り出せませんでした。本人が“妊娠していません”と否定されたんです。
中絶や流産した可能性もありますので、その場は引き上げてきました。翌日は朝からこの件で会議を開きましたが、やはり本人の発言や行動がおかしいことと、子どもさんが確認できなかったので、市役所職員と伊勢崎警察署に相談に行きました」
その後、先に述べたとおりの結果となってしまった。
「こんな悲しい出来事になるとは思いもしませんでした。無事に出産されて、市が支援できたらよかったのですが……」(同市の担当者)