ヒロインはドジっ子から美人や頭のいいキャラに
─『きのう何食べた?』のよしながふみや『昭和元禄落語心中』の雲田はるこなど、BL誌の出身というマンガ家の活躍も目立つ。
福「BL作家がメジャーデビューをして大物に。男社会の出版業界に、同人誌から始まったBLが“そうじゃない”と一石を投じた。女子目線を如実に表してると思います」
小「ヒロインの性質も変わりましたね」
福「昔はドジっ子でダメなヒロインが主流だった。ところが平成では美人だったり、頭がよかったり。読者がドジっ子に感情移入できなくなった?」
小「神尾葉子『花より男子』はまさしく、強い女子が主人公。武内直子『美少女戦士セーラームーン』なんて悪と戦っていますからね」
─平成中期には少年ジャンプから、ほったゆみ・小畑健『ヒカルの碁』、許斐剛『テニスの王子様』などのヒット作が相次いだ。
小「“ヒカ碁”は意図的に腐女子ファンを増やそうとしたと思いますよ。いま見ると、少女マンガに近い絵柄ですもんね」
福「“テニプリ”はミュージカル化されて2・5次元という新しいジャンルを築いた。初演を見た友人の証言では、その完成度の高さに終演後、観客が一斉にロビーで速報メールを打ちまくっていたそうです(笑)」
─女性向けマンガでも歴史に残る名作が続々と誕生。
小「女子マンガ的にいうと、くらもちふさこ『天然コケッコー』が秀逸!」
福「くらもち先生はベテランですが、何歳になってもリアルな中学生を描く!」
小「研究されていますよね。画力も高いし、さすが」
福「矢沢あい『NANA』も大ヒット。“NANAはいちごのショートケーキが好きだった”という連載1回の名台詞から、雑誌の口絵に載せるレシピの依頼があり、光栄なお仕事でした」
小「NANAは10年ほど休載中。でも雑誌『Cookie』には今も頻繁に付録がつくほどの人気だとか」
福「羽海野チカ『ハチミツとクローバー』は、普段もうマンガを読まなくなったおしゃれ人間をマンガに引き戻しましたよね」