それから2年、「あれ? 私、歯科医に行っておらんやん?」と気づいた。そこで、総入れ歯の宣告をした歯科医のもとを訪ねて、聞いてみた。
歯科医が竹内さんの口内を見ると、歯ぐきはピンク色でしっかりと引き締まっているではないか。
「竹内さん、治っとるやないか。一体どうしたん?」
「自分で薬作ったわ」
「すごいことやで。大学で調べてもらったらどうや」
歯科医にすすめられるままに調べてもらった結果、動物実験で毒性は否定されさらに歯周病菌、虫歯菌が激減するなどの抗菌活性が認められたのだった。
まさかの商品化、まさかのバカ売れ
そして特許出願、'07年には健康食品製造会社に依頼して商品を開発。竹内さんは娘の園絵さんとともに会社『Y&S』を立ち上げ、洗口液と歯磨きジェルの販売を始めた。これまでに累計22万本が売れたという。
母の無茶な実験を見続けてきた園絵さんがこう話してくれた。
「家族はまったく信じてなかったんですよ(笑)。でも、利用者さんから感謝のハガキがたくさん届いたり、お礼を言いに訪ねてくる人を見て“本当に役に立ってるんだ”と実感するようになりました」
竹内さんが言う。
「世の中に必要なものは、誰かの手を使って世に出てくるような気がします。その誰かに選ばれたことに感謝していますよ」
それにしても、育毛剤はいまだ完成していない。
「初志貫徹しますよ。(記者の頭部を見て)完成したら連絡しますね」