休業前と同じことをしてもダメだな
今回の作品の中で“人生にも波はある。波が来たら乗ったほうがいい”というセリフがあるが、自身もサーフィンをやる吉沢は、自分の過去をこう波にたとえる。
「大きくて形がいい波なら、長く乗ることができます。でもその波に乗る腕がなければ、逆に波に飲み込まれてしまい、死の危険もある。僕の場合、大きな波が来たときに、僕が乗れるタイミングではなかったんですよね。
でもその波を逃したことで大きな波の存在も知れたし、今度来たときに乗りたいと思えるようになれました。だから当時の選択は、振り返ってみても間違ってなかったと自信を持って言えます」
1年間の休業を経て、現在の事務所へ移籍。事務所と自身の方針が一致したこともラッキーだったと微笑む。
「吉沢悠(ゆう)の時代があってこそ今の僕がありますが、休業前と同じことをしてもダメだなという思いもあって。30代になってから、舞台に多く出演させていただいた年もあったんです。そしたらスタッフに“役者人生の中で、そういう時期があってもいい。役者として採用しているんだから”と言ってもらえて、うれしかったです」
40代になって肩の荷が下りた
30代半ばには焦っていた時期もあったというが、昨年40代に突入したことで、気が楽になったとか。
「舞台の稽古中に40歳の誕生日を迎えたのですが、共演の吹越満さん、堀部圭亮さんたちに“40代はどう?”と聞かれ、“肩の荷が下りた気がします”と言ったら、吹越さんにニヤッとしながら“50代はもっと楽になるよ”と言われました(笑)。だから年齢を重ねていくのが楽しみです」
30代から40代になるタイミングで撮影が行われた今回の作品。
「人との出会いや運などが重なって波は起こるので、ひとりでは大きな波を起こせないということに気づきました。海や自然と向き合うことで気づかされることは多いので、この映画を通じてみなさまに何か感じてもらえたらうれしいですね」
出演/吉沢悠、馬場ふみかほか
5月31日より新宿バルト9ほか全国ロードショー