自ら2回も発した「魔性」ワード
前述のように山里は「みなさんからさっきから出ている単語」=魔性、と指摘したが、実は芸能レポーターから「魔性」という言葉は一切、出ていないのである。
山里の魔性発言の前、芸能レポーターとのやりとりはーー
質問「蒼井優さんは芸能界イチのモテ女優とずっと言われていて、もちろんファンの方もそうなんですが、芸能界の男性でも俳優さん、ものすごくファンの方が多いとうかがっているんですけど、その女優さんをひとり占めにしちゃったわけですよね」
山里「はい」
質問「なにかファンの人たちに、芸能界の人たちにもフェイクニュースじゃないかと、今日、もう大騒ぎだったんですけど、何かメッセージはありますか?」
それを山里は勝手に解釈し、自ら「魔性」と言う言葉を2回、持ち出したのである。
会見の模様は、YouTubeでノーカットで見られる。あらためて確認しても、「魔性」という言葉が使われたのは2回だけ、山里から発せられたものだけだった。
前述の山里の発言から見えることは、山里本人が「蒼井優は魔性の女」と、かつてメディアで報じられていたことを認識していたということ。
そのことを、芸能レポーターの質問にかこつけて、パブリックイメージとプライベートイメージは違うんですよ、と訴え、魔性の女=蒼井優というパブリックイメージを払拭することにつなげた。
会見の質問を正確に把握することなく、いくつかのメディアは、芸能レポーターによる“魔性質問”があったという体(てい)で報じた。
山里の賢さが際立つやりとりだった。その結果、意図的かどうかはわからないが、まんまと自身に好都合なフェイクニュースを作り出すことに成功したのである。
山里が一枚上手だった。
<取材・文/薮入うらら>