「最近、新しいタイプの離婚をちらほらと聞くようになった」というのは、作家の亀山早苗さん。“従来とは違う”現代の夫婦たちのリアルな離婚理由に迫った。
“疑惑”レベルで離別を決意「不信感離婚」
浮気三昧の夫の言動に耐えたという話は、いまは昔。現代は浮気「疑惑」であっさり別れる女性がいる。
アキさん(38=仮名、以下同)が友達の結婚パーティーで知り合った同い年の彼と結婚したのは33歳のとき。
「結婚して3年、娘がまだ1歳になったばかりのころに、夫の帰宅時間が妙に不規則になったり、初めて外泊したりしたんです」
今から3年前のことである。浮気だという確固たる証拠はない。夫を問いつめても、「仕事が忙しかった」「付き合いで行った飲み会で、上司に酔いつぶされた」などと言い訳をする。
毎日遅いわけではないが、どこか挙動がおかしい。突然、花を買って帰ってきたときは、ほかの誰かに渡したかったのではないか、と疑念を抱いた。
何かが不自然だとアキさんは感じたのだった。
そんな状態が3か月ほど続き、アキさんは子どもを連れて実家に戻った。
「夫を信頼できなくなったんです。浮気していようがいまいが、それはどうでもいい。信頼感がなくなっても夫婦でいる、ということに意味がないと思って……」
我慢する気はなかった。というのも、自宅から30分ほどのところに住む両親が「いつでも帰っておいで」とエールを送ってくれていたからだ。
「出産後も私は職場復帰していましたし、きちんと仕事も続けていきたかった。仕事と娘は大事だけど、信頼がなくなった夫はストレスにしかならない」
夫はあわてて彼女の実家にやってきたが、アキさんはストレス源となった夫を許容しようとはしなかった。
「うちの親でさえ、もう1度やり直してみたらと言ったけど、私は時間のムダだと断言しちゃいました」
離婚して3年、夫はときどき娘に会いにくる。それは彼女も拒絶しない。夫婦ではなく、娘の親同士としてなら付き合っていけるかな、と思っている。