なぜメーカーに家具を借りる?

 多くのインテリアショップがドラマの美術協力をしているうえ、撮影で使われた現品が安く売られていることも。テレビ局のスタジオには、あらかじめ備品として持っている撮影用の家具もあるはずなのに、なぜメーカーに借りているのだろう?

「テレビ局や制作会社が持っているものを使ったり、撮影用に道具を貸し出す会社から借りたものを使用することも多いです。しかし、ずっと倉庫に眠っている家具やレンタル会社が持っている商品だけだと、どうしても真新しさがなかったり、最先端なものではなくなってしまうという問題点が出てくるんです」(ドラマプロデューサー)

 ドラマの世界にぴったりな家具を選ぶ必要があるため、幅広いレパートリーが必要だという。場合によっては、ショップとタイアップすることもあるそうだ。

「例えば、セットが“高級なレストラン”や“お金持ちの家”の場合、ありきたりな家具だと違和感が出てしまうように、ドラマのコンセプトやセットに合わせて、インテリアショップとタイアップを組むことはありますね。逆に、タイアップの話が先に制作側に来ている場合もあります。“あるブランドからタイアップがあるので、それに沿ったセットや内容のドラマを作りませんか”というような感じです。ケースバイケースですね」(同・ドラマプロデューサー)

メーカー側にもメリットが

 制作側だけでなくメーカー側にも、ドラマに美術提供するメリットがある。『ノーサイド・ゲーム』に美術協力した村内ファニチャー企画宣伝部の鈴木健さんに話を聞いた。

「うちの場合は提供で社名が出ることがメリットなので、無料リースをしています。CMなどクレジットが出ないものへの家具提供は広告効果が薄いので、ドラマに提供しているんです。10年ほど前からリースしていますが、最近は買い取りも多いですね」

『凪のお暇』に協力をした、モダンデコ株式会社インターネット事業部の森本大貴さんは、

「会社の知名度を上げるためのPR目的で、無料でお貸ししています。そのかわりにショールームで“このドラマで使われています”ということをポップで明記したり、販売員が言ってもいいという許可をもらっています。弊社はドラマで使用する専用のものを毎回作っているので、実際に使われたものは買えないのですが、同じタイプのものは買うことができます」

 ドラマの世界観を作るのに欠かせない“スパイス”となっている、ステキな家具の数々。あなたの部屋にも、おひとついかが?