衝撃的な言葉が並んだ彼からの返事
ところが──。1週間も経たないうちに彼からの返事の手紙が届きましたが、そこに書かれていたのは桃子さんへの罵詈雑言(ばりぞうごん)のオンパレートでした。
例えば、《ワンナイトとかセックスフレンドって言葉があるでしょ?》と一夜限りの関係だと切り捨てたり、《俺にはそういう子が他にもいるよ。桃ちゃんよりもっと会っているし、もっと長く一緒にいるよ》と桃子さんが本命ではなく浮気相手だと暴露したり。
さらには《付き合う前提ってだけで必ず付き合うとは限らないでしょ? 付き合ってるかどうか確認してないよね。仲直りも何も、はじめから付き合っていないから》と恋人同士であることを否定し、《フィーリングが合わないよね。エッチしたけれど付き合いたくないって思った》とセックスの相性が悪いのは桃子さんのせいだと責任転嫁までしたのです。
言いたい放題の内容を目の当りにして桃子さんは思わず、手紙をビリビリに破ってガスコンロで燃やそうとしたのですが、途中で思い直し、スマホで撮影。それを筆者に見せてくれました。筆者が驚いたのは手紙の消印と同日、桃子さんの口座に彼の名前で30万円が振り込まれていたことです。
「私はお金なんていらなかったんです。ただ、彼とよりを戻せれば、それで良かったのに……。次にいつ、結婚を考えられる相手と出会えるんでしょうか?」
復縁を望む場合、請求するべきだった内容とは
桃子さんは思わぬ展開に動揺を隠せない様子でしたが、桃子さんが慰謝料より復縁を望むのなら、請求内容に強弱をつけるべきでした。
例えば、慰謝料は男性が支払えないような金額を設定し、「慰謝料を払えないから復縁するしかない」と思わせ、彼が慰謝料より復縁を選ぶように促すという具合です。しかし彼のプロフィールの年収を信用するなら、今回の請求額30万円は十分に支払える金額でした。
慰謝料と復縁は一挙両得ではなく二者択一です。「慰謝料も欲しい。復縁もしたい」は通用しません。桃子さんが本当に復縁したいのなら慰謝料を返さなければなりませんが、「慰謝料を払えば縁を切れる」と思って振り込んできた彼に対して、今さら「本当は慰謝料なんていらないからよりを戻してほしい」と懇願しても相手にされないでしょう。
LINEをブロックしても電話を着信拒否しても手紙を送り付けてくるなんて……彼は桃子さんのことを「しつこく付きまとうストーカー」だと思っていたのでしょう。慰謝料の振込は決して喜ばしいことではありません。なぜなら、彼にとって桃子さんの存在は「お金を払ってでも縁を切りたい相手」だということを意味するのだから。
結局のところ、彼からの手紙によって桃子さんは「好きなときにヤラせてくれる都合のいい女」でしかないことが明らかになり、手紙によるアプローチで桃子さんは傷口を塩でえぐられ、ひと夏の苦い思い出は悪夢と化したのです。