ひと目見て“一般の女性とは違うな”と
毎日がむしゃらになって働いていたが、いつしか中澤さんも27歳という年齢になっていた。1960年代の27歳だ。
「“私、売れ残っちゃったかな? って、はっと気がついた。(笑)。そんなときに“もらい損なったかな?”と思っていた人が、同じ古賀政男事務所にいたんです」
1970年、29歳で中澤一弘さんと結婚。中澤さんは専業主婦になる。
一弘さん(79)が出会いの印象を語る。
「美人でしたよ。私が言うのも変ですけどね(笑)。ひと目見たときに“一般の女性とは違うな”と思いました」
職業人としても優れた力量があったと語る。
「活発で、判断力のいい、優秀なマネージャーでしたね。
例えば、小林幸子が新幹線に乗ってどこかに行かなくちゃならない。新幹線に乗り損なったりすると、即、手配してちゃんと帳尻を合わせてみせる。今みたいに新幹線が3分おきにくるような時代の話じゃありません。常に一生懸命で優秀なマネージャーでした。だからこそ、50年以上たった今でも(小林と)交流があるんじゃないでしょうか?」
ちなみに2人のキューピッドは、小林幸子その人だった。
小林さんが言う。
「私は四谷三丁目に住んでいて、マネージャーだから、照子さんが送り迎えに来てくれるわけですよ。そうすると、一弘さんもなぜかちょくちょく来てくれるの。
最初、意味がわからなかったんですけれど、あとになってようやくわかりました。デートするにもお金がかかる。でも私のアパートだったら、お茶を飲んでいくらおしゃべりしてもお金がかからない。
“ああ、そういうことだったのか!”って(笑)」
そして、こう続ける。
「“やさしさで言ったらこの人(一弘さん)以上の人はいない”って。結婚前、そう言っていたのを覚えています」
1972年、31歳で娘の綾子さんを出産。主婦になり、1児の母となっても、なぜか相談事を持ちかけられるのは変わらなかった。
「今度は各家庭のごたごたですよね。私も姑さんやご主人とのことに、さもわかったようなことを言ったりね」