「血だらけだ!」
「もう死後硬直が始まっている!」
降りしきる雨の中、現場のアパートに臨場した警察官がそう叫ぶ声で、近所の住民は事件に気づいたという。
物静かな家族だった
10月29日午後7時ごろのことだった。神奈川県相模原市南区の自宅アパートに帰宅した父親(71)が、リビングで妻・由紀恵さん(72)が顔から大量の血を流してあおむけに倒れているのを見つけ、「妻が亡くなっている。息子が殴ったのではないか」と110番通報。警察官が駆けつけた際、台所にいた長男の無職・北岡哲史容疑者(49)は「僕は知らない」「死体が転がっている」などと話したとされる。
「由紀恵さんのあご付近には硬いもので殴られた痕跡があり、腹部からアザも見つかった。犯行は父親が出勤・帰宅するまでの約13時間の間とみられ、県警はまず遺体を放置した死体遺棄容疑で哲史容疑者を逮捕。本人は“納得がいかない”などと否認している」(地元の社会部記者)
県警によると、司法解剖の結果、死因は腹部殴打による大動脈損傷にもとづく内出血と判明。県警相模原南署は同31日、殺人の疑いで哲史容疑者を再逮捕した。
周辺住民によると、事件が発覚した夜、パトカーに乗せられた父親は肩を落とし、呆然としていたという。
一家は3人暮らし。約2年前に現在のアパートに引っ越してきた。間取りは3LDKと3人世帯にしてはやや広めで家賃は月5万~6万円。母親は引っ越しの挨拶回りでミルフィーユの洋菓子セットを持参するなど近所に気を配っており、周囲は「基本的には物静かな家族だった」(近所の女性)などと話す。
「父親と母親が笑って話す声はときどき自宅から聞こえてきたが、会話に哲史容疑者が加わる様子はなかった。父子や母子間で話す声も聞いたことがない。哲史容疑者は日中でもシルバーの自転車に乗ってよく出かけていたので、ご近所さんと“仕事はしていないみたいね”とは話していた」(同女性)