大阪市に住む小6女児がTwitterのダイレクトメッセージでやりとりをしていた35歳男性に誘拐されるという事件が起き、世間を驚かせている。今や世代に関わらず、誰もがSNSを使用する世の中だけに他人事ではない。自身も子育て真っ最中の放送作家でNSC講師を務める野々村友紀子が感じたこととは──?
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今年もいろいろありましたが、これは世の思春期の子を持つ母親たちの心を相当かき乱した事件のひとつではないでしょうか。
女児が無事に保護されてホッと安心したあとも、「自分の子どもは大丈夫か?」「SNSで見知らぬ人と変なやりとりをしていないか?」「今後どう教育するべきなの?」と、親として心配が尽きることはありません。しかも、その後、似たような事件がいくつか発覚したことも、世間に大きな衝撃を与えました。
子どもが、自分のスマホで連絡をとった大人の男性に、自らついていってしまう。
道を歩いていて突然、車で連れ去られたわけでも、公園で遊んでいて何かにつられてついて行ったわけでもなく、自分の意志で出ていく。これははたして「誘拐」なのか? 一見「家出」とも思える行動ですが、まだ判断能力がない未成年者を大人が甘言でかどわかしているわけですから、完全に大人が悪い、憎っくき犯罪です。
ほんま、こんなことされたら親としてたまらんっちゅーの!
女子の思春期は今も昔も……
今までは、子どもの行動範囲や自宅近所にいる変な人に対して、親として網を張って気をつけたり、子どもには口が酸っぱくなるのも通り越して、もう甘辛くなってくるくらい「知らんおじさんにしゃべりかけられても逃げるんやでー」と注意してきましたが、これからは「世界中の知らんおじさん」に注意しないといけない時代なの!?
しかも、SNSで何度かやりとりして、悩みを聞いてもらったりおしゃべりして少しでも親交を深められたら、それはもう子どもからしたら「知らんおじさん」ではなくなってしまうわけで、家庭環境によっては、「親より優しい、ちょっと知ってるおじさん」を頼る子が出てきても不思議ではないでしょう。
今回の事件の背景や、家庭での親子関係は知りうることはできません。なので、ここからは自分も思春期を経験し、思春期の娘を2人持つ私の勝手な考えです。まずひとつ言えることは、今回の事件に巻き込まれた小6も、一緒に保護された女子中学生の15歳という年齢も、本当に難しい時期!
ほとんどの子が、ちょうど親をわずらわしく感じたり、母親とケンカしたりする時期ではないでしょうか。私だって親が嫌いでしかたがない時期がちょうどその頃だったし、中学生の頃は母親と大ゲンカして、徒歩2分のところにある友達の家に家出したこともあります。
かつて私は、母親や家の不満を日記に書きなぐっていたので、もしもそのときにSNSがあったなら「もうこんな家出ていきたい!」とか「早くひとり暮らししたい」とか呟(つぶや)いていたかも。
そう。こんなことは今始まったわけではないのです。