美波さん(36歳、仮名)は、義則さん(41歳、仮名)とのお見合い後、交際が成立しました。成立すると連絡先を交換し、男性から女性にファーストコールをするのが通例です。

 ファーストコールを終えた美波さんから私に、連絡がきました。「相談したいことがある」と、少し困惑していました。

「ファーストコールをいただいたときに、『お互いをなんて呼び合おうか?』と聞かれたんです。もういきなりタメ口で。だから私は、『では、美波さん、でお願いします』って言ったんですね。そうしたら、『じゃあ、僕のことは、義則と呼び捨てで呼んでよ』って。私、会ったばかりの男性を下の名前で呼び捨てにすることには、違和感があって」

 さらに、電話をきったあとも、『今日はありがとう。おやすみ』というLINEがきたので、『おやすみなさい』のスタンプを送ったそうです。するとー。

「LINEって、スタンプを送ると暗黙の了解で“これでおしまい”という雰囲気になるじゃないですか。それなのに、『Good night!』というスタンプがきて、そのあとに、『Good night! は、イタリア語でなんていうのかな。タイ語は?』と、また文章のLINEがきたんですよ。もう電話でさんざん話したし、時間も遅かったので既読スルーにして、翌朝、返信しました」

 実は美波さんは、幼少期に父親の仕事の関係でタイで暮らし、大学卒業後は2年間、イタリアに留学をしていたのです。

 さらに翌日からも、朝、昼、晩とくるLINE。特に夜のLINEは、返信するとまた返信、返信するとまた返信と、なかなか終わらなかったようです。

「コミュニケーションを密にとっていくためにも、毎日のLINEは大事だと思います。でも、こちらの反応も見ず、空気も読まず、ガンガン送りつけてくるのは、どうなんだろうって。一方的にコミュニケーションを押しつけてくるのではなく、相手が今どんな気持ちでいるのかを察することも大事ですよね」

 また、学生時代の合コンならいざ知らず、30代後半、40代になって出会ったばかりの人にいきなりタメ口で会話をしたら、お相手はその方の品位を疑ってしまいますよね。

 相手の反応も見ずにグイグイ自分のペースで距離を縮めていく人は、婚活への熱意はあっても、熱量を出していく方向性とやり方を間違っています。

 一生の伴侶を得るために活動するのが、婚活です。礼を尽くし、真摯(しんし)に、前向きに、正しく婚活エネルギーを出していってほしいなと思います。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/