「ごちそうさま」も言わず、奢られて当然の顔
孝之さん(40歳、仮名)は、婚活歴1年になりますが、先日お見合いをした、さとみさん(36歳、仮名)とは、とてもうまくいっているようでした。「4回目のデートを終えた」と言う報告を受けたので、今後のお付き合いをどう進めていくかについての面談をしました。
孝之さんは、言いました。
「さとみさんとは真剣交際に入って、できることなら結婚までたどりつきたいです。そうなったら、長かった婚活にやっと終止符を打つことができます」
そして、1年間を振り返ってこんなことを言いました。
「40人近い女性にお会いしましたが、本当にいろんな方がいましたね。お見合いでお会いしたときに、挨拶もろくにしない女性もいたし、こちらが質問しても一問一答で返してきて、まったく会話の盛り上がらない人もいた。あと、これは僕の新たな発見でもあったのですが、見合いやデートを終えて会計をするとき、女性の言動で、お金を払うこちらの気持ちもまったく変わってくるのだとわかりましたよ」
大手情報センターでのお見合いでは、“お茶代や食事代は割り勘にする”と取り決めをしているところもありますが、仲人型の結婚相談所の場合、男性がお茶代や食事代をお支払いするというのが通例です。
「男が払うことは、わかっているんですよ。でも、女性側が、『お支払いはどうしたらいいですか?』と聞いてくるかどうかで、払うこちらの気持ちも変わってくる。『あ、大丈夫ですよ。僕にごちそうさせてください』と言って払って、その後に、『ごちそうさまでした』と言われるのは、気持ちがいい。ところが、当然の顔をしてレジの前を素通りしてティーラウンジの外に出て行き、『ごちそうさま』も言わずに帰っていく女性もいた。こっちが払うのがわかっていても、ムッとします」
孝之さんは最後に、「ごちそうさまでした」が言えなかった女性には、交際希望を出さなかったそうです。
「その点さとみさんは、お見合いを終えたときに、『お支払いはどうしたらいいですか?』と聞いてきたし、僕が支払ったら、『ごちそうさまでした』と丁寧にお辞儀をして、『今度は私にお茶をごちそうさせてくださいね』と言ったんです。それだけで『あ、これは交際希望がくるな』と思ったし、次のデートのときは、『この間はごちそうさまでした』と言って、小さなクッキーをお土産に持ってきてくれた。そういう気遣いができるところが、最初から好印象でした」
そして、デートで食事をしても、孝之さんが会計を済ませると、合計金額の半分くらいのお金を、「私の分なので取ってください」と、千円札で渡してくれたといいます。
「毎回そうでした。デートの前に両替していたんです。その気づかいにも心を打たれました」
男女平等の社会になって久しいのですが、どうも“お支払いは男がしたほうがかっこいい”という風潮はまだまだ根強く残っています。そんな中で、男性に恥を欠かせないようにさりげなくお金が渡せる女性は素敵です。
お金に対する考え方、使い方には、本当に人間性が透けて見えますね。
鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/