1.敷金と原状回復ガイドラインの明文化
退去時のトラブル減少&敷金は基本、全額返還!
退去時にいくら返ってくるのか気になる敷金は、民法改正によって定義づけがなされ、担保という位置づけに。敷金は賃貸契約終了時に“基本、全額返却してもらえるもの”と考えられる。ただし、家賃の滞納などの債務不履行があれば敷金から弁済する必要があるほか、原状回復費用として差し引かれる場合も。
「30〜40年ぐらい前は需要と供給のバランスが大きく崩れていて、大家さんが“貸してやっている”という状況。そのため、“退去費用は入居者が全部負担する”“新品に戻して返す”ということがけっこうありました」
そうした昔の感覚のまま現在に至っているケースなどもあり、原状回復に関するトラブルは非常に多かったという。そこで、平成10年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(平成16年に改訂、平成23年8月再改訂)が取りまとめられることに。今回の民法改正では、そのガイドラインが明文化され、法的効力を持つこととなった。
「民法改正以前から、管理会社などはそのガイドラインにのっとっているところが多く、トラブルも徐々に減ってはきていました。ですが、大家さんが直接、自分で管理している場合など、ガイドラインを把握していないことがあったのも事実。今後は、よりフェアな契約ができるようになるでしょう」
【通常損耗・経年劣化については負担の義務はなし!】
《貸借人が請求されない修繕》
□家具の設置による床のへこみ
□冷蔵庫の後部壁面の黒ずみ
□ポスター掲示等のための画鋲の穴
□日照などによるクロスの変色
《貸借人が請求される修繕》
□タバコなどのヤニ・におい
□ペットによる傷・におい
□風呂の水アカ・カビなど
□戸建て住宅庭の生い茂った雑草
【契約時に気をつけて! 「特約」までしっかり確認】
賃貸契約をするときに注意したいのが、「特約」の存在。“特約の必要性があり、暴利的でない”などいくつか特約締結の要件はあるものの、ハウスクリーニングやクロスの張り替え費用など、通常は賃借人が負担しないですむことも「特約」で定めて契約してしまえば賃借人に負担させることが可能。退去時に“見落としていた”と焦らないよう、契約時にきちんと確認することが大切!
賃貸契約をするときに注意したいのが、「特約」の存在。“特約の必要性があり、暴利的でない”などいくつか特約締結の要件はあるものの、ハウスクリーニングやクロスの張り替え費用など、通常は賃借人が負担しないですむことも「特約」で定めて契約してしまえば賃借人に負担させることが可能。退去時に“見落としていた”と焦らないよう、契約時にきちんと確認することが大切!