4.個人保証における極度額の設定

保証人より賃貸保証会社を使う人が増えていく

 改正によって、契約書の条項に連帯保証人が負う最大負担額=極度額の明記が必要に。極度額が定められていなければ、その保証は無効となる。ただし、具体的な金額が法律で定められておらず、あまりに高額な場合は無効となる可能性はあるが、上限に制限はない。

「貸主からすれば極度額は最大にするほうがいいですよね。今までは“まあ、いいか”と連帯保証人になっていた人も、具体的な金額を知ることで不安になり、断ることが増えると考えられます」

 ちなみに、極度額を決めるひとつの目安となるのが、裁判の判例。判決で認容された連帯保証人の負担額に関する国土交通省の資料によれば、平均値で家賃13・2か月分、最大値で家賃33か月分の負担額となっている。

 また注目したいのは、対象が個人保証に限られているという点。いわゆる保証会社による保証では、極度額を定める必要がないのだ。

「今後は、家賃保証会社(債務保証会社)の利用が必須という賃貸契約が増えていくでしょう。家賃保証会社を利用する場合、その分の費用がかかります。賃貸保証料は初回の契約時で賃料の0・5か月分〜1か月分というのがだいたいの目安です」

極度額はいくらくらい? ※国土交通省 住宅局 住宅総合設備課(極度額に関する参考資料)をもとに作成
極度額はいくらくらい? ※国土交通省 住宅局 住宅総合設備課(極度額に関する参考資料)をもとに作成
【写真】賃料減額の目安や個人保証における極度額を一覧表でわかりやすく解説

(構成・文/長谷川英子)


【PROFILE】
加藤哲哉さん ◎ALL About賃貸・部屋探しガイド。不動産会社や不動産オーナーに対して、多数のセミナー実績がある。リクルート、レンターズを経て現在All About 賃貸・部屋探しガイドやLIFULL HOME'Sのエグゼクティブ・アドバイザーを務めている。