新型コロナウイルスの感染拡大により、4月からスタートするはずだった新番組の放送延期が発表された。同時にテレビ各局は報道・情報番組を除くバラエティやドラマの収録も休止し、生放送の出演者はソーシャルディスタンスをとる、あるいはリモート出演するなどの対応が多く見られるようになった。

『相棒』や『ドクターX』はドル箱

「NHKが大河ドラマ(『麒麟がくる』)と朝ドラ(『エール』)の収録休止を決めたのは初めてのこと。それだけテレビ界も、危機的状況に追い込まれているということです」

 そう話すのはスポーツ紙記者。

 さらに、今月12日にテレビ朝日『報道ステーション』のメインキャスターを務める富川悠太アナウンサーが新型コロナウイルスに感染したことが明らかになり、16日にはチーフプロデューサーとスタッフの2人も感染していたことが判明。局内外に大きな衝撃を与えた。

「報道番組とはいえ、人の命にかかわることです。万一クラスター感染が起こった場合には、番組そのものの存亡も視野に入れなければならない状況になるでしょう。とにかく今は、感染を拡大させないようにするのが最重要です」(同前)

 感染拡大にともなう新番組の放送延期、ならびにロケや収録の中止によるスケジュールの変わり方次第では、今後の放送もどうなるか……先行きは不透明だ。

 そんな中で注目されるのが、過去作品の「特別編」「総集編」や「再放送」「一挙放送」だ。「再放送」といえば、テレビ朝日やフジテレビが夕方に放送している人気ドラマが思い浮かぶ。

「『相棒』や『ドクターX』(ともにテレビ朝日系)などは、過去の再放送であっても2ケタ近い視聴率を取れるドル箱です。フジの『月9』シリーズや『白い巨塔』も同様で、人気は衰えません。これは、例えばスタジオジブリ作品が再放送されるたびに10%超えするのと同じ現象です。

 また、年末年始によく見かける人気ドラマの一挙放送は、もともと働き方改革の影響で番組制作を減らすために行ったものでしたが、やはり好評だったといいます」(テレビ誌ライター)

 これらはあくまでも地上波やBS、CSの放送だが、若者に人気なのが『Amazonプライム・ビデオ』や『Netflix』『U-NEXT』『Hulu』『dTV』といったサブスクリプション(※)の動画配信サービスだ。(※月額制で音楽や動画を視聴したり、洋服をレンタルしたりと、サービスや商品の利用期間に対して対価を支払うビジネスモデルのこと)

「若い人は、テレビ番組をリアルタイムで見るより、時間を気にせず録画や動画配信で見ることのほうが多い。サブスクリプションですとスマホやタブレット、パソコンなどさまざまなデバイスから、自分の都合でいつでも、どこでも見られますし、豊富なコンテンツも魅力です。最新の映画から海外ドラマ、『鬼滅の刃』のような人気アニメ、また、山田孝之が主演を務める『全裸監督』などのオリジナル作品と、幅広いジャンルの作品ラインナップが並んでいます」(同前)

「一挙放送」「見放題」「総集編」そして、動画配信サービス。テレビ局らにとっても視聴者にとっても、自粛生活を乗り切るにはいいコンテンツかもしれない。

(取材・文/小窪 誠子)