1.慰謝料
有名人の離婚時に“慰謝料何億円”などと報じられるが、
「ほとんどは財産分与を含めた金額。純粋な慰謝料ではありません。慰謝料は、相手の不法行為で被る損害賠償のうち、精神的損害に対する賠償金です」
慰謝料は婚姻期間に比例し、熟年離婚でも200万~300万円。結婚して数年の場合は50万円程度だそう。
夫が不倫をした場合、夫と相手の女性と両方に不貞慰謝料の請求が可能だが、
「ただし法律上は、(夫と浮気相手の)2人による不貞というひとつの案件に対しての損害賠償請求権。ゆえに、慰謝料200万円の場合なら、(1)夫のみに請求 (2)不貞相手のみに請求 (3)2人に対して要求(夫に100万円、不貞相手に100万円など)の3つの選択肢があり、不貞をされた妻は慰謝料を請求する相手を指定できます」
慰謝料は、まず当事者同士で話し合い、合意ができなければ地方裁判所や家庭裁判所を通じて請求する。
A:夫の不貞相手から慰謝料を取るには、不貞相手が“夫が結婚していると知ったうえで、肉体関係を持っていた”ことが必須条件。もし夫が“独身”と偽っていた場合は請求できない。また、不貞相手も結婚していた場合、不貞相手の夫が自分の夫に慰謝料を請求する場合も。
2.財産分与
「財産分与の対象は、夫婦2人が婚姻期間中に築いた財産。離婚する場合は、原則として半分ずつわけます」
夫名義のマンションや不動産であっても、財産分与の対象に。一方、独身時代の預貯金や自分の両親や親族からの相続や贈与は対象外。
プラスの財産だけでなく、ローンなどマイナスの財産も半分ずつ(ただし、ギャンブルなどの借金を除く)。
「調停や裁判で財産分与の話になった際、相手が正直に申告せず、隠していた場合は取り損ねてしまいます。ゆえに、離婚前には夫名義の財産を確認しておきましょう」
夫の財産が把握できない場合、裁判所を介して銀行口座を探す『調査嘱託』という方法も。ただし、すべての金融機関の支店が対象ではなく、ありそうなところをピックアップして調査するため万能ではないとか。
「妻のほうが、夫よりも年収が高い場合は注意。裁判になれば、財産分与も年金分割も半々に。夫の不貞が原因の離婚なのに、妻のほうが損をしてしまいます」
稼ぎのある女性は、“財産分与はお互いの名義のものはお互いで”と、あえて相手の財布に手を突っ込まないほうが得策かも。