3.親権・面会交流権

 夫の不貞が原因で離婚をする場合、親権は妻になることが圧倒的。

「今までは、たとえ妻が不貞行為をしても、育児放棄していない限り、妻が親権を取れました。しかし、最近はイクメンが増え、父親側が親権を主張してくるケースが増えています。判例も、ここ3年ぐらいで変化してきています」

離婚した夫と子どもとの面会については、

「いつ、どこで、どのように、どれくらいの時間会うのか。付き添い、お泊り、子どもの引き渡しはどうするかなど、具体的に決めておくといいでしょう」

 最初は月1回程度、ファミレスや公園などで、日中に数時間だけ会うケースが多い。

4.養育費

 離婚後、妻が子どもを引き取ったとしても、夫には子どもの扶養義務があるため、養育費を払わなくてはならない。

養育費の金額は、算定表によって決められます。ここでは、“子1人(0~14歳)の表”のみを掲載しますが、子の人数や年齢が異なる別バージョンも、裁判所のホームページに掲載されているので、見てみてください」

 昨年12月、約20年ぶりに算定表が改定されている。

「ほとんどのケースで増額となっています。高校無償化により15歳以上の場合は、養育費が下がる可能性がなくもありませんが、ごく限られたケースだと思います」

 養育費は、一括での受け取りを希望する人も多い。しかし、客観的事情の変更により増額・減額請求ができる権利なので、裁判所は原則として月払いを考えている。

「子どもが病気になったり、私立高校に進学するなどの場合、受け取る側の妻から増額の交渉もできます。逆に、支払う側の元夫が失業したり、病気やケガで入院したりした場合は、減額交渉を受けることも。いったん一括で受け取ったあとでも、さらに請求できることもあります」

 双方が合意できなければ、調停に。

Q:再婚後、元夫にもう子どもを会わせたくない
A:再婚したら、子どもには新しい父親と仲良くなってほしい。できれば元夫とはもう会わせたくない! その気持ちは理解できるが、残念ながら、子どもとの面会を拒否することは基本的にはできない。子ども自身が父親への拒絶感が強い場合でも、写真や手紙などの“間接交流”を調停では勧められる。もちろん、子どもに暴力をふるうなど悪影響がある場合は、交流の制限ができる。

Q:養育費の支払いが滞ったら?
A:まずは電話や郵便で催促、さらには内容証明郵便を送る。それでも支払われない場合は家庭裁判所に申し出て、支払いの勧告をしてもらう。履行命令に応じない場合、10万円の罰金が科せられるが、法的強制力はない。しかし、平成16年の民事執行法改正で、相手の預貯金や不動産などを差し押さえる“強制執行”ができるように。給料の差し押さえも2分の1まで可能となった。

Q:再婚しました。養育費はもうもらえない?
A:たとえ妻が再婚しても、養育費はもらい続けることができる。しかし、再婚相手と子が養子縁組をすると、支払われなくなることも。また養子縁組をしていなくとも、再婚相手に経済的余裕のある場合、元夫の稼ぎが少なく生活が苦しい場合や介護などで働けない状況であれば、減額を打診されることも。話し合いで合意すれば減額、合意ができなければ家庭裁判所で調停となる。