星野がMステに出演するより少し前から、この『うちで踊ろう』の動画コラボに新たな流れが見られるようになった。
“ネタ素材”へと変貌
例えば、動画の中で本来はギターを演奏している星野の下半分を、自分が撮影した映像と組み合わせ、〈スマホの歌詞をカンニングしながら歌う星野源〉、〈豆腐パックの蓋がなかなか開かない星野源〉、〈納豆をかき混ぜる星野源〉、〈腕がやたらムキムキな星野源〉といった“ネタ動画”が増殖しはじめる現象が起こっている。
その意義に賛同するコラボから始まり、総理コラボを経て、ネタコラボへ。約1か月の間にコロコロと使われ方が変わっていった星野源の『うちへ踊ろう』。ネタ素材にいきついたのはなぜだろうか。あるコラムニストはこう分析する。
「お笑い芸人のたむらけんじが、総理コラボを逆手にとって、ふんどし姿でいつも使う小道具の獅子舞をなでるという動画を投稿してウケるなど、多くの人が憤慨した動画を“笑っていいもの”に変えました。総理もよかれと思って投稿した動画が炎上するとは思っていないというのは、批判する側もわかっているはずなので、アベノマスクという次の標的ができたら、矛先はそこに向きます。
とはいえ振り出しに戻り、また一緒に演奏したり歌ったり、当初のコラボはちょっと恥ずかしい空気になってしまっ。また、自粛やSTAY HOME生活にある程度、慣れてきたことも加わり、ネタとして楽しむところに落ち着いたのではないでしょうか」
さらに、この動画の「素材」としての秀逸さについても指摘する。
「曲が覚えやすくてキャッチー。しかも、もともとの映像がシンプルなところが、さまざまな用途に使いやすい理由ではないかと思います。そこは、星野源さんが本来持つアーティストとしての魅力の大きさがあってのものでしょう」
緊急事態宣言の動向にともなって、動画コラボもさらに進化して楽しまれる素材として使われそうだ。
〈取材・文/渋谷恭太郎〉