「自分がコロナに感染したらどうしよう、コロナにかかったら最後だなと思っています。倒れたら収入がなくなります。精神的にうつになってもいけないと今も気を張っています。私が病んだら、子どもたちを守れないからです」
新型コロナウイルスが蔓延(まんえん)する直前、今年2月に離婚したシングルマザーの高橋裕子さん(仮名、30代)は、とにかく感染しないことを最優先に非常事態を生き抜いてきた。
生活を脅かされるシングルマザー
5月末、緊急事態宣言の全面解除を受け安倍晋三首相は「感染リスクをコントロールしながら、段階的に社会経済活動のレベルを引き上げる」と、経済活動の再始動に舵を切り始めた。
しかし、自粛の要請で商業施設や飲食店などが休業を余儀なくされた4月から5月にかけて、日本各地で経済活動は停滞し、国民が打撃を受けている。
アパレル大手『レナウン』は経営破綻に追い込まれ、大手旅行会社『HIS』は夏のボーナスを支給しないことを決定。コロナ不況がじわりじわりと広がり、非正規労働者が4月に、97万人減少していたことも判明。
踏み止まっている人も6月いっぱいでの「雇い止め」が懸念される中、シングルマザーも生活を脅かされる日々を送っている。
NPO法人『しんぐるまざあず・ふぉーらむ』には現在、メールや電話による相談が、1日20~30件あるという。同会の小森雅子さんは、
「相談に来られる方の特徴としては、経済的にお困りの方が多いです。ここ1、2か月は何とかなるけど、その後に不安を持っている人が多い。子どもが休校になり、家で面倒を見るために仕事に行けないという方がたくさんいます」
と現状を伝え、生活の一端を次のように明かす。
「切り詰めるところは食費しかないので、子どもには食べさせますが、自分が1日に1食だけ、なかには2日に1回しか食べませんとおっしゃるお母さんもいます。
健康を害するレベルの切り詰め方で、体重が4キロ減りましたという方もいます。肉体的精神的にも追い込まれていますが、過去に役所に相談した際に、何の保障も得られなかったこともあり、どうせ助けを求めてもダメだろうと、あきらめている方は大勢います」
先進国で最悪のレベルと指摘されていた、日本におけるひとり親家庭の相対的貧困率が、ここにきてシングルマザーをいっそう苦しめている。