パートも対象になる休業手当の新給付金
コロナの影響で、休業を余儀なくされた労働者の収入確保の策として、政府は休業手当を出した企業に、その一部を助成する『雇用調整助成金』の制度を実施。しかし、パート先の企業が助成金を受けておらず、休業手当がもらえないケースは多い。
そこで新たに登場したのが、休業者本人が直接申請できる給付金制度だ。
「雇用調整助成金を受けていない中小企業で働く人が対象で、パートなど非正規雇用の人も含まれます。休業者が企業を介さず、直接ハローワークに申請し、休業手当相当額の給付金を受け取れるというもの。給付金の額は月33万円を上限に、月額賃金の8割程度になる見込み。安倍総理が創設を表明したばかりで、現段階ではまだ実施されていません。詳細は設計中ですが、雇用調整助成金に比べて簡素な手続きで迅速に支給される見込み。今後の動向をチェックし、対象者は制度が実行されたらハローワークに問い合わせて申請しましょう」
なお、会社の倒産やリストラによって職を失った場合、離職前の1年間に雇用保険の加入期間が通算6か月以上あれば、パート労働者も失業給付を受けられる。
「倒産やリストラなど会社の都合による退職と、自分の都合で会社を辞める場合とでは、支給日数などの給付内容が異なります。前者の場合は、ハローワークに申請して最短7日間の待機期間で給付金の支給が開始され、支給日数が最大330日と長く、最大支給額も約260万円と高い。自己の都合で退職した人より有利な内容です」
まれに会社が解雇したのに自己の都合による退職扱いにしているケースもあるので、
「離職の際は、会社から交付される離職票に“会社の都合である”と書かれているかを確認しましょう」
当面の生活費に困る場合は貸付制度も
ほかにも、コロナ禍で収入が減り、生活が苦しくなった世帯を支援する制度があるので、見ていこう。
「失業して世帯収入が下がった今こそ勉強して仕事のスキルを磨くチャンスです。今後の就業のために活用してもらいたいのが、ハローワークの『求職者支援制度』。雇用保険未加入でも職業訓練が受けられ、世帯収入が月25万円以下などの要件を満たしていれば、月額10万円が支給されます」
職業訓練には、ワード、エクセルなどのパソコン操作、WEBデザイン、介護スタッフ養成、経理事務など多種多様なコースが用意されている(コース内容は各ハローワークによって異なる)。
当面の生活費に困る場合は、無利子、保証人なしでお金が借りられる『緊急小口資金』と『総合支援資金』という貸付制度を利用する方法も。
「コロナの影響で、収入の減少や失業などにより日常生活の維持が困難となっている世帯が対象です」
緊急小口資金は、緊急かつ一時的な生計維持のための貸し付けで、20万円まで借りられ、返済期限は2年以内。総合支援資金は、生活を立て直すことができるようにするための貸し付けで、最大60万円まで、返済期限は10年以内。
「両方とも返済時にまだ所得が低く住民税非課税世帯であれば、返済を免除されます。申請場所は各地の社会福祉協議会。お金に困ったら、高金利の貸金業者に借りるより、まずここに相談しましょう」