事務所で行われた“改革”
ジャニーさんの死はタレントたちに大きなショックを与えた。しかし、月日がたって、“子どもたち”はひと回り成長を遂げていた。『ジャニーズは努力が9割』(新潮社)の著書があり、ジャニーズ事情に詳しい霜田明寛氏は、恩師が亡くなって以降、タレントたちが一体感を持つようになったと指摘する。
「山下智久さんがジャニーズJr.のユニット『美 少年』の楽曲をプロデュースしたり、関ジャニ8の横山裕さんと大倉忠義さんが関西ジャニーズJr.の育成をしたり、KinKi Kidsの堂本光一さんがHey! Say! JUMPのライブの演出を手がけるなど、最前線で活躍しているタレントが後輩たちに“ジャニーイズム”を伝えています。これまでも、光一さんが作った曲をJr.が歌うなど単発の企画はありましたが、ジャニーさんが亡くなって以降、後輩の育成に力を入れていると思います」
特に、キンキの2人はジャニーさんの思いを後世に伝えようとしているという。
「堂本剛さんは、昨年9月にA.B.C-Zへ提供する楽曲で、故人を思う曲『You…』を作詞・作曲しましたし、今年6月17日に発売されたキンキの新曲『KANZAI BOYA』のCDの初回限定盤には、ジャニーさんがかぶっていた帽子とそっくりな黒いキャップを特典につけるなど、恩師をリスペクトした演出もしています。彼らはほかのタレントに比べて、この1年間、ジャニーさんに関する発言が非常に多いですからね」(霜田氏)
昨年9月に滝沢がジャニーズ事務所の副社長に就任し、ジャニーさんの思いを継承しつつ、新しいことに取り組んでいるが、特に力を入れていることがあって……。
「ジャニーズのOBと現役が関わる機会を増やそうとしています。これまでは、ジャニーズを辞めると、現役のメンバーと関わる機会もなくなっていました。しかし、滝沢さんは“OBと現役の壁をなくしたい”と話しているそうです。事務所を辞めた後も、お互いに刺激し合って、成長してほしいと考えているのでは」(芸能プロ関係者)
この“改革”は、実を結び始めている。
「現在、放送中の大河ドラマ『麒麟がくる』で、'18年9月に事務所を退所した元タッキー&翼の今井翼さんが、風間俊介さんと同じ放送回に出演しています。今井さんは元相方ですし、風間さんは'98年にテレ朝系で放送された『8時だJ』など、ジャニーズJr.の黄金期を支えたメンバーです。2人の“共演”を機に、OBと現役が仕事をすることが増えるかもしれませんね」(同・芸能プロ関係者)
芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は、2人が共演を果たした背景には、事務所内の変化も大きいと指摘する。
「昨年7月に、ジャニーズ事務所が元SMAPの3人をテレビに出さないよう圧力をかけた疑いがあるとして公正取引委員会から注意されました。ジャニーさんが健在のころは、事務所とタレントの関係が“親子”のような深いところがあって、辞めるタレントに対して、ある意味“子離れ”できていないように感じられました。最近は、それも薄れているようです。“個人商店”から企業に生まれ変わり、すべてビジネスとして割り切れるようになったのでは」