調剤費は大病院前の“チェーン店”が安い

 病院のかかり方にも大きなポイントが。例えば乳房に違和感を覚えたとき「乳がん検診」を受けてしまうと保険適用外ですが、通常の診察を受ければ同じような検査をしても保険が適用されます。保険は原則として自覚症状があったり病気を治すために使われるもので、予防や検診などには適用されないからです。

 気になる症状をきっかけに検診を受ける人は多いと思いますが、症状がある場合は病院で診察を受けましょう。

 手術を受ける場合、入院期間によって費用は大きく変わってきます。簡単な手術であれば、入院せず、日帰りできるに越したことはありませんが、手術後は痛みの程度も想像がつかないため、短期間でも入院するほうが安心な場合もあります。民間の医療保険に加入していれば、費用面でのサポートが期待できます。

 入院費用は基本的には保険点数で決められているため、セレブ病院と呼ばれるところも一般的な病院も同じです。

一方、差額ベッド代などは各病院で設定できるようになっているため高額になる場合があります。しかし個室しか空いていないという病院の都合で利用する場合、差額ベッド代(特別療養環境室料)を支払う必要はありません。差額ベッド代の請求には料金の説明をして同意書にサインをもらう必要がありますので、希望しない場合はサインしないように注意しましょう。

 また、民医連加盟病院のように差額ベッド代を設定してない病院も増えていますので事前に調べてみてください」

 処方薬の場合、薬代も一律のため、安く購入するにはジェネリック(後発医薬品)を選択するしかありません。しかし、調剤代金は薬局によって異なるため、節約したい人は薬局選びがポイントに。

 調剤薬局には大きく分けると病院内の「門内薬局」と街中にある「一般薬局」のほか大きな病院の近くにある「門前薬局」とがあり、門前薬局でも大手チェーンの薬局かどうかで違いが出てきます。

 薬局で処方薬を出してもらうと必ずかかる調剤基本料は薬局の区分により変わります。最も安いのは病院の敷地内にある門内薬局の30円(処方箋1枚当たり、以下同)ですが、門内薬局は今後減少していくと思われます。次に安いのは大手やチェーンの門前薬局で50~60円、次が普通の門前薬局で80円。一般薬局が最も高く120円。

 調剤薬局には『お薬手帳』を持参すること。過去3か月以内に利用した薬局なら、本来170円かかる薬剤服用歴管理指導料が130円となり40円ほど節約できます。

「このように薬局でかかる費用は薬局の立地や規模によって異なり、処方箋やジェネリックの取り扱いなどによっても違います。ジェネリックの場合、薬剤料を新薬の2〜7割抑えることができますし、まずは、薬局でもらった領収書や明細書は保管し、もらった薬剤と照らし合わせてください。最近はお薬手帳アプリもありますので、活用するのもいいでしょう」

 調剤薬局では「かかりつけに指定されますか?」と聞かれることがあります。

 かかりつけ薬剤師の制度は平成28年にできた制度で、利用するといつも同じ薬剤師が担当してくれ、経過を観察し、深夜やお休みの日でも電話相談できるようになるといったメリットがあります

 持病があって長い期間、薬を服用しているという人にはとても安心の制度ではあります。

 しかし、1回当たり3割負担で230円の指導料が必要となります。自分にとってかかりつけ薬剤師が必要かどうかは、じっくり見きわめることが大切です

 また、複数の薬を1回分ずつに小分けにする一包化は便利なサービスですが、1週間分当たり約100円と安くはありません。

 自分でできる人は不要と伝えてみましょう。

【新型コロナに感染したら、医療費は?】
 新型コロナウイルスは「指定感染症」のため、検査費用、治療費ともに公費扱いで自己負担はなし。検査結果が陰性でも同様。軽症者のためのホテル宿泊費や食事代も自己負担なし。もちろん医療保険の給付対象で、自宅療養の場合には、民間保険会社の給付対象にも。

【失職や病気医療費が払えないときは?】
 例えばコロナの影響による倒産などで失職した人や、DVを受けて保険証を持たずに世帯主から逃げている人などは医療費の支払いに困る可能性があります。そのような、生計困難者は一定期間「無料低額診療」を受けられます。居住している自治体に連絡を。