懲役8年の刑務所暮らしの実父
ほかにも、事件2日前の夜、中鉢容疑者宅が救急車を呼ぶ騒ぎがあった。
「部屋から中年男性が飛び出してきて、私は年上の旦那さんなのかと勘違いしてしまった。その男性が共犯の実父だったみたい。事情を尋ねると、“目を離したすきに子どもが机に顔をぶつけ流血してしまったんです”と言う。大事には至らなかったようだけど、事件直前の出来事だから何かのきっかけになったんじゃないかな」(前出の主婦)
中鉢容疑者は複雑な家庭環境に育った。幼いころ両親が離婚。
母親に引き取られ、再婚相手が新しいパパになった。
知人によると、再婚相手との間に生まれた弟を可愛がっていたという。
しかし、中学生になると、少し扱いにくい女の子に。同級生の保護者は「不良ではなかったけれど」と前置きして次のように話す。
「勉強が苦手で、入部したソフトテニス部でも活躍していません。鬱屈した感情からか、おとなしい男子生徒をいじめるようになりました。相当悩まされた親御さんもいます」
県内の農業高校に進むと、実家を離れて寮生活に。卒業後は実家近くの観光ホテルに就職したものの3日で退職。さまざまな職種を転々とするが、ほとんどが数日程度と長続きしなかった。
「アウトローな生き方になるに従い、幼いころに別れた実父への親近感が湧いてきたのかもしれない。西條容疑者は約11年前、当時の内縁の妻を果物ナイフで刺し、殺人未遂罪で懲役8年の刑務所暮らしを数年前に終えたばかり。子育てに苦悩する中、元カレを憎む気持ちが高まり、穏やかな養父ではなく、刑務所帰りの実父を頼ったのだろう」(一家を知る関係者)
最近になり、一緒に暮らし始めた父娘。しかし、出所後の西條容疑者は娘とは別に更生した生活を送っていた。
「早朝3時には起床して板金工の仕事に出かける。同居する母親と役割分担して祖母を介護し、収入面でも精神面でも一家の柱だった。再会した娘に頼られて妙な気を起こしたのか。この事件さえなければ、まじめで謙虚でやさしい男になっていたのに」(同)
父娘の歯車は、どこで狂ってしまったのか─。