カフェインは避けるのがベター
「パンツを汚したくない、いつもきれいでいたい……そんな気持ちから1年中、おりものシートをしたり、排尿のたびにウォシュレットをするような人は要注意です」と関口さん。膀胱炎のほか、頻尿、尿もれなどの下半身の病気を招きやすくなるのだという。
「本来、外陰部は湿っているのが正常な状態。これを嫌ってカラカラにしようとすれば、陰部は傷つきやすく、細菌が繁殖しやすくなります。おりものシートなどの化学繊維も、外陰部に負荷をかけがちなので、使用は最小限におさえましょう」
また尿トラブルを抱えている人は、膀胱の粘膜が弱い傾向にあるので、粘膜を刺激するようなカフェインも避けたほうがベター。利尿作用も高いので、水分のほとんどをコーヒーや紅茶で摂取しているような人は頻尿を招く場合も。
「美容を意識して、水分を過剰にとる人がいますが、膀胱に過剰な負荷がかかるので気をつけてください」
【生活習慣を改善して尿トラブルを遠ざけよう】
尿トラブルのカギともいえる“骨盤底筋”とは、骨盤内にある膀胱や腸、子宮、卵巣、膣などの臓器を、落ちないように支えている筋肉群のことを指す。加齢とともに衰える傾向があるが、出産経験や生活習慣も大きく関係してくる。
「妊娠出産は骨盤底筋を大きく傷つけます。1年ほどで傷は癒えるのですが、出産経験がない人に比べれば、痛みやすい傾向に。猫背やそり腰などの人も腹圧を高めて、骨盤底筋に負担がかかりがちです」
姿勢を正し、おなかに負荷がかかりそうなときは、骨盤底筋を締めて、さらに上にグッと引き上げるよう意識して生活するのがポイント。
【骨盤底筋を衰えさせる悪習慣に注意!】
1.猫背
背中が曲がっておなかに腹圧がかかり、骨盤底筋に負担をかけてしまう。
2.反り腰
胸を前に突き出し腰をそらせた姿勢。腹圧が高まり、骨盤底筋への負担は大。
3.腹筋運動(足を伸ばして行う場合)
腹圧が大きく高まり、骨盤底筋を下に押し下げる原因となる。
4.トイレで反り返った姿勢でいきむ
背筋を伸ばしていきむと、骨盤底筋まで下に押し下げる。前屈みの姿勢がおすすめ。
5.重い荷物を持つとき
おじぎをするように持ち上げるのではなく、ひざを曲げて、腰を落として持ち上げて。
6.電車で間仕切りに寄りかかって座る
座るときに背筋が伸びていないと、呼吸のたびに骨盤底筋に腹圧がかかってしまう。
(取材・文/樫野早苗)
【PROFILE】
関口由紀さん ◎女性医療クリニックLUNAグループ理事長。女性泌尿器科医。婦人科・女性内科・女性泌尿器科・乳腺科・皮膚科などを総合的にみる「女性医療クリニック・LUNAグループ」を展開。著書に『自分で治す!頻尿・尿もれ』(洋泉社)など。