インフレになれば、貯金は実質目減りする。
「例えば、老後30年の生活費として2000万円の貯金を準備したとします。しかしインフレが起こって、もし物価が2倍になったら、貯金2000万円は半分の価値になって15年で底をつく。実物資産であるゴールドは、インフレが起きても、モノとしての価値が変わりません。物価上昇に耐えうる資産といえます」
こうした理由から、吉田さんは「長い目で見て今後、起こりうるリスクを回避する、“守りの資産”として、ゴールド投資は有効」だという。
成功の秘訣は毎日コツコツ積み立て
では、どうやってゴールド投資を始めればいいのか? 金の延べ棒を思い浮かべ、高額なイメージを持つ人も多いだろう。もちろん現物を直接購入する方法もあるが、吉田さんがすすめるのは、数千円から手軽に始められるゴールド投資だ。
「ひとつは純金積立。毎月決まった金額でゴールドを購入する方法です。金の価格が高いときは買う量が少なく、価格が低いときは多くの量を買えるので、金の価格変動によるリスクを抑えられます」
取り扱っているのは、田中貴金属工業や三菱マテリアルなどの地金商。田中貴金属工業の場合、積立額は3000円からスタートできる。
「パソコンやスマホのアプリから会員登録でき、最初に金額を設定しておけば毎月、自動的に口座から引き落とされます。購入したゴールドは地金商で保管してくれるので、管理する手間がかからず、盗難のリスクもありません」
積み立てで購入した純金は、現金だけでなく、グラムに応じてジュエリーや金の延べ棒など現物にも換えられる。
手軽に始められそうな純金積立だが、購入時の手数料がやや高め。田中貴金属工業の場合は、購入額に応じて1・5%~2・5%かかる。
「手数料を抑えたいなら、金価格に連動するETFがおすすめです。ETFとは株式市場に上場している投資信託のこと。具体的な商品名を挙げると、『金の果実』という純金ETFがあります。
SBI証券の場合、購入時にかかる手数料は54円のみ(取引額5万円以下の場合)。金の果実は1口単位で購入でき、現在1口6000円ほど。純金積立のように毎月少しずつ買っていくのがおすすめです」
ETFを購入するには、証券会社で口座を開く必要がある。SBI証券や楽天証券などのネット証券を利用すれば、オンライン上で申し込みができて手数料が安い。
すでに証券会社の口座を持っているなら、その口座から購入できる。
「積み立てしたゴールドを、ジュエリーに換えたいといった希望があったり、とにかく手間をかけたくないというのであれば純金積立が便利。
一方、少しでもトータルコストを抑えて利益を得たい人にはETFが向いているでしょう。毎月かかる手数料の差は、積立期間が長期にわたるほど大きいですから」