eスポーツはチェスや将棋に近い

 ここ近年、ゲームの世界では『eスポーツ』という言葉が普及している。“electronic sports”の略称で、ゲームを使った競技活動全般を指すことから、彼らは「eスポーツ選手」とも呼ばれる。

 すいのこがプレーするスマブラ鉄拳などの格闘ゲームフォートナイトなどのシューティングゲーム、カードゲームなどがこれに当たる。

「スポーツ」と聞くと、野球やサッカーのように身体を使った競技を思い描くだろうが、ゲームがその仲間入りをしている点について、すいのこはこう解説する。

株式会社「ウェルプレイド」所属のスマブラプレーヤー・すいのこ氏
株式会社「ウェルプレイド」所属のスマブラプレーヤー・すいのこ氏
【写真】日本の高学歴プロゲーマー・すいのこ氏、ゲームと教育の関係性を力説

次の手を頭の中で組み立てるチェスや将棋は『マインドスポーツ』と呼ばれていますeスポーツはそれに近いです

 その言葉が普及し始めた「eスポーツ元年」は、2018年。世界最大級のアメリカの格闘ゲームイベント『EVOが日本で初めて開催された年で、同年の流行語大賞にもトップ10入りした

 ゆえに歴史はまだ浅く、その実態はあまり知られていない。だが、市場規模はうなぎ上りで、各ゲームタイトルの競技人口を累計すると、世界で1億人以上がプレーしていると言われ、テニスに匹敵する規模なのだ。

 大会の賞金額も、ほかのスポーツ競技と比べて引けを取らない。日本での優勝賞金最高額は、現役の明治大学生ふぇぐが、'18年末に開かれたカードゲームの世界大会で獲得した100万ドル(約1億1000万円)。海外だと優勝チームに賞金3430万ドル(約37億円)が贈られた大会もあった

 そんなゲーム熱に、冷や水を浴びせるかのような動きもある。今年3月に香川県議会で可決された「ネット・ゲーム依存症対策条例」がそれだ。18歳未満のゲームプレー時間について、“平日は1日60分”という目安を定めたため、ブーイングが殺到して話題になった。規定の理由としては“成績が下がる”“睡眠・視力障害”などの悪影響が挙げられ、依存症の危険性も指摘された。

 依存症については、世界保健機関(WHO)が'18年に“病気”と認定しており、ゲームに対するネガティブな見方は一定程度存在する。しかし、それはゲームに限った話ではなく、漫画やテレビなどにも当てはまるはずで、要は使い方次第ではないだろうか。