大切なのは、準備すること
「崖崩れするのは山だけでなく、台地も崩れます。都内や千葉県周辺でも台地にニュータウンなどを形成している場所は多く、『関東ローム層』と呼ばれるように地層の上部は富士山や箱根から飛んできた火山灰が約7~10メートル積もっている。保水力は弱いと考えられます」(同・前)
高橋特任教授が台風によるさまざまな被害を心配する主な地域は下表のとおり。
「台風は標高500メートル以上の山は上手に乗り越えることができず、手前に雨を降らせることが多い。こうしたポイントも注意したほうがいい」(同・前)
いざというとき、自分や家族の命を守るためにはどうすればいいのだろうか。
『シニアのための防災手帖』を監修した一般社団法人「地域防災支援協会」代表理事の三平洵氏は、
「風水害に対して、何も準備しないことは絶対にいけません」
と警告する。
「突然起きる地震とは異なり、風水害は事前に備えることができますから。川が氾濫したらどのくらい浸水するか、土砂崩れは起きそうか、自治体のつくった『ハザードマップ』で確認しておきましょう」
浸水の程度によって、住居の上の階に逃げるか、別の建物に避難すべきかわかる。
「避難先は親戚・知人宅などに限りません。台風10号に備えて、安全なホテルに宿泊してやりすごした人たちがいました。物議をかもした国の観光業支援策『Go To トラベル』は防災面からみれば避難に使えます。避難の後押しにもなるので『Go To 避難』を検討してはどうでしょうか」(三平代表理事)
コロナ対策で避難所の定員は絞られている。また自宅でやりすごす場合も、停電などを想定した準備が必要という。
「まだ暑い日が続く中、停電でクーラーが使えなくなれば熱中症になるリスクは高まります。経口補水液のほか、叩いたら冷たくなる保冷剤、ペットボトルの水を凍らせたものも役立ちます」(同・前)