洗濯ばさみも“凶器”になる
自宅の周囲にも、目配りしておきたい。
「防災システム研究所」の山村武彦所長は、被害を少しでも抑えるために、「飛ばされそうなものは室内に移動させましょう」とアドバイスする。
「自転車やバイク、植木鉢やプランター、物干し竿、ゴミ箱などは“凶器”になるおそれがあります。あるいは濡れ雑巾や洗濯ばさみも、強風に飛ばされて近隣宅の窓ガラスを割るかもしれないので片づけておく。風速50メートルを超えると、そういったものでもガラスは割れてしまうんです」
意外なものが台風によって“武器”に変わり、家族や隣人を傷つけたり、住居を損壊するかもしれないから怖い。
強風が自宅を襲いそうになったら、何に気をつければいいのだろうか。
「台風10号は特別警報級までにはなりませんでしたが、風速50メートル以上は竜巻のようなものです。竜巻の場合は、1階より2階のほうが窓ガラスが割れる危険性が高い。避難するときは2階より1階、1階より地下です。地下がなければ窓ガラスのない浴室の浴槽などに身を隠すようにします」(山村所長)
家族の命には犬や猫などのペットも含まれる。自宅を離れて避難生活を送る場合、ペットをどうするか。避難所では受け入れないケースも多く、事前に検討しておく必要がありそうだ。
前出の三平代表理事はこう提案する。
「台風の被害想定エリア外まで行けば、ペットホテルもペットサロンも受け入れてくれるはずです。人間は同じエリアのホテルに避難すればいい。また、ふだんから広域の飼い主同士でコミュニケーションを図り、お互いに災害時にはペットを預かるなどの約束をしておくと安心です」