いきなり怒涛の展開に
物語の核心に迫っていくにつれ、これまで登場人物たちが隠していた面が露見しはじめ、脚本家が変わったのかと思うほどに、終始、怒涛のシリアスな展開になっていく。これまでの2人のイチャつきもほぼ皆無となったのだ。
さらに、ここにきて観月ありさ演じる今日子の“悪役っぷり”がより際立ち、また違う楽しみ方をみせてくれる。
観月というと、これまで正義感の強い役や『ナースのお仕事』(フジテレビ系)のような元気で前向きな役が多い印象を受ける。そんな彼女は、この役を演じるにあたってこう話していた。
「ノリノリでやってます。やりすぎか? ってくらい(笑)。大旦那役の佐野史郎さんと私とで、いかにクセのある感じを出せるか張り合ってますから。とにかく濃くて、暑苦しい(笑)」(『週刊女性』2020年9月29日・10月6日号)
そんな観月の悪役や、佐野史郎の濃い演技は最終回まで見逃せないといったところ。
一方で、【第七話】では、裸で迫る栞に対し、椿が冷たい表情で首を絞めるシーンでは横浜の出演していた『あなたの番です』(日本テレビ系)でのクールな彼を彷彿とさせた。
また、『賭ケグルイ』(TBS系)でも共演した浜辺美波&高杉真宙がお菓子で盛り上がるシーンなど、過去の代表作を思い起こすような場面もあり、ファン心を刺激してくれる。
あま〜いセリフやベッドシーンでみせる横浜&浜辺のイチャつきと、佐野や観月の狂気あふれる演技。いったいどこを軸に見ていけばいいのかと戸惑うこともあるが、それこそが本作の最大の見どころと考える視聴者もいる。
このアンバランスさが醸し出す『わたどう』の面白さがどう着地するのか、最終回のラスト10分にはより一層注目したい。
PROFILE●田幸和歌子(たこう・わかこ)●1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムを様々な媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。